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米商務省、輸出管理規則順守のための学術界向け資料集を発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月16日 11時20分

米国商務省産業安全保障局(BIS)は8月14日、学術界向けの輸出管理規則(EAR)違反に関する自主開示の傾向を示したコンプライアンスノートと、コンプライアンス順守のための情報源をまとめた概要資料を発表した。今回の資料発表は、2022年6月に発表された「アカデミック・アウトリーチ・イニシアチブ」に基づいている(2022年6月30日記事参照)。

コンプライアンスノートは、過去10年間に学術機関が自主開示したEAR違反の概要のほか(注1)、違反行為に対処し、防止するために大学が取るべき行動についても記載されている。違反行為は、バイオハザード、エンティティー・リスト(EL)、みなし輸出、一時的な輸入・輸出・再輸出・国内移転(TMP)、電子輸出申告書(EEI)、記録管理に分けて記載されている。例えばELの箇所では、取引当事者全員(購入者、中間荷受人、最終荷受人、およびエンドユーザー)をスクリーニングしていないことや、発注書の受領時のみスクリーニングし、その後のEL掲載者の更新を考慮せず出荷前に再スクリーニングしなかった、といった不適切なスクリーニング手順が違反につながったと分析している。改善点には、調達から輸出時まで各段階での商務省国際貿易局統合スクリーニングリスト(CSL)利用の義務付け(注2)、スクリーニングを強化できるソフトウエアの追加利用などを挙げている。みなし輸出違反については、EARで管理された技術を外国籍の従業員や学生に無許可で公開したことについて自主開示(VSD)があったとし、原因には、大学が輸出許可取得の必要性を正しく理解できていなかったこと、適切な研修制度が欠如していたこと、などを指摘している。改善点には、研究開発に携わる職員や学生に対する研修の義務化などを挙げた。

コンプライアンス順守のための情報源をまとめた概要は、輸出許可審査に関わる情報源のほか、輸出許可申請に必要な電子申請システム(SNAP-R)などBIS特有の情報源、最近のEAR違反に対する執行措置などが掲載されている。

バイデン政権は近年、輸出管理の執行を強化するとともに(2022年7月4日記事参照)、効果的な取り締まりを行うべく、違反した際のVSDを奨励している(2024年1月25日記事参照)。併せて、学術機関や企業がコンプライアンスを順守できるよう、ボイコット(取引拒否)を要請した事業者リストの公開や(2024年7月1日記事参照)、違反・罰則事例集の更新(2024年7月3日記事参照)、規制品目の横流しリスクのある事業体を通知するガイダンスの公表(2024年7月11日記事参照)などを行っている。

(注1)例えば、最近の大学による自主開示には、インディアナ大学の事例がある。この時は自主開示したことなどから、罰金は科されなかった(2024年6月26日記事参照)。

(注2)CSLは、ELだけでなく、特別指定国民(SDN)やBISの輸出特権剥奪リスト(DPL)など主要な制裁の対象者を一括検索できるリスト(2022年12月23日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国)

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