米石油大手シェブロン、本社をテキサス州ヒューストンに移転(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月6日 11時25分
米国の石油大手シェブロンは8月2日、本社をカリフォルニア州サンラモンからテキサス州ヒューストンに2024年中に移転すると発表した。現在のサンラモン地域の従業員約2,000人はヒューストン地域の従業員数(約7,000人)の半数以下の規模となっている。今後5年間で全ての企業機能をヒューストンに移転する予定だ。
同社は本社移転の理由について明らかにしていないが、カリフォルニア州が2023年9月にシェブロンや他の大手石油会社4社に対して、化石燃料に関連するリスクについて住民を欺き、地域社会や環境に数十億ドルもの被害を与えているとして、責任を問うために提訴するなど、同社とカリフォルニア州との対立を複数のメディアが報じている。
テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は「シェブロンにとってテキサスは真の故郷だ。ドリル・ベイビー・ドリル(注)。シェブロンはカリフォルニアに冷遇され、本社をヒューストンに移転する」として、シェブロンの移転を歓迎するコメントをX(旧Twitter)に投稿した。
ヒューストン市のジョン・ウィットマイヤー市長(民主党)も「この移転は経済成長と機会を約束するものだ。シェブロンが世界のエネルギーの中心地ヒューストンにやってくることを歓迎し、ともに繁栄する未来を楽しみにしている」と、移転を歓迎するコメントをXに投稿した。
米国航空宇宙企業スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)の最高経営責任者(CEO)などを務める起業家のイーロン・マスク氏が7月16日、スペースXの本社をカリフォルニア州ホーソンからテキサス州ブラウンズビルに、さらに、Xの本社をテキサス州オースティンに移転すると表明している(2024年7月18日記事参照)。
(注)ドリルは石油採掘を意味する。もともとは化石燃料の国内生産増を促す2008年の共和党大会で使用されたスローガンだが、2023年5月以降にドナルド・トランプ前大統領がエネルギー価格引き下げに向けた対策の方針として使用している。アボット知事は2023年11月、米国とメキシコの国境保護措置で期待できる候補として、2024年の米大統領選挙の共和党候補のトランプ氏への支持を早期に表明している(2023年11月22日記事参照)。
(深石晃)
(米国)
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