11月14日のスリランカ国会議員総選挙、与党NPP優勢との見方が主流(スリランカ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月7日 12時0分
スリランカで11月14日に国会議員総選挙(1院制、定数225、任期5年)が実施される(2024年9月27日記事参照)。225議席のうち196議席が22の地方選挙区で、29議席が全国区で、それぞれ比例代表制により選出される。
現地紙は同選挙の見通しについて、9月の大統領選で勝利したアヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ大統領(2024年9月24日記事参照)が率いる国民の力(NPP)が優勢と報じている(「サンデー・タイムズ」紙11月3日、「デーリー・エフティー」紙11月5日)。野党のサジット・プレマダーサ氏が党首を務める統一人民戦線(SJB)や、ラニル・ウィクラマシンハ前大統領を中心とする新民主戦線(NDF)、マヒンダ・ラージャパクサ元大統領が党首のスリランカ人民戦線(SLPP)がNPPを追う展開となっている。
今回の総選挙では、現与党のNPPが法案や予算の議決に必要な過半数の議席、憲法改正に必要な3分の2の議席を獲得できるかが注目されている。ディサーナーヤカ大統領は大統領選の1回目の集計(注1)で563万4,915票(42.3%)を得票したが、過半数を獲得することはできなかった。10月26日にスリランカ南部のエルピティヤ・プラデシヤ・サブハで実施された地方議会選(定数30)では、NPPが15議席を獲得し、2019年に実施された前回選挙の2議席から大幅に躍進した。SLPPは前回の17議席から大きく減らし、3議席に終わった。SJBは6議席だった。
NPPのディサーナーヤカ大統領は政治刷新への期待から支持を集めている。スリランカの研究機関IHP(Institute for Health Policy)は10月24日に「国家の方向性」に関する世論調査結果を発表した(注2)。大統領選が実施された9月24日以降の調査では、41%が「正しい方向に向かっている」と回答し、36%の「間違った方向に向かっている」を上回った。経済危機が本格化した2022年4月から2024年8月の間には、「正しい方向に向かっている」という回答が10%を上回ることはなく、国民は悲観的だったが、ディサーナーヤカ大統領就任以降は前向きになっているようだ。
(注1)スリランカの大統領選では、有権者は選好順位をつけて最大3人の候補者に投票できる。1回目の集計で「第1選好」の過半数を獲得した候補者がいなかった場合、2回目の集計では、「第1選好」で3位以下の下位候補者の得票の中から、「第2選好」または「第3選好」で1位または2位の上位候補者を選択した票が上位候補者に加算され、1回目の集計と2回目の集計の合計得票数が最も多い候補者が当選する。
(注2)調査は9月24日から30日にかけて、成人309人を対象に行われた。
(大井裕貴)
(スリランカ)
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