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中国、就業促進について意見発表、完全雇用目標に各種政策を連携(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月2日 0時35分

中国共産党中央委員会と国務院は9月25日、「就業優先戦略の実施と質の高い完全雇用の促進に関する意見」を発表した(文書は9月15日付、注1)。

就業促進と起業奨励を方針とし、大規模失業リスクの抑制に向け、雇用の質向上と量の合理的な増加などを推進する。その上で、中間所得層の増加や社会保険のカバー範囲の拡大などを実現するとしている。

意見では、(1)経済・社会の発展と就業促進の協調・連動の促進、(2)構造的就業問題の解決への注力、(3)重点層への就業支援体制の整備、(4)的確かつ効率的な公共就業サービスシステムの整備、(5)労働者の就業の権利と利益の保障レベル向上、(6)質の高い完全雇用促進業務について力を集結するという6分野24項目の措置を盛り込んでいる。

主な内容として、(1)では、質の高い完全雇用を経済・社会発展の優先目標とし、財政、金融、産業、物価、雇用などの政策を連動させるとする。また、新興産業や未来産業(注2)で雇用を創出し、第三次産業の雇用能力を拡大する。その他、国有企業が雇用の主導的な役割を発揮し、雇用モデルとしての効果の高い企業などには、優先的な建設用地確保や、雇用支援サービスを提供する。資本、技術、労働集約型産業の移転も推進する。

(2)では、高等教育機関の理工・農業・医学分野の入学規模を拡大し、就職の質が低い専攻にはレッドカード、イエローカードシステムを導入する。職業能力訓練の充実や人材育成にも力を入れる。(3)では、重点分野・業界や中小企業での就業や起業を奨励し、就業が困難な人々や、卒業後2年間以内に就職していない大卒者が「フレキシブルワーク」(注3)をする場合、社会保険補助を支給する。

(4)では、全国統一の就業情報データベースの構築など、公共の就業支援サービスを強化し、(5)では、地域、身分、性別、年齢などによる非合理的な就業制限や差別の撤廃を進める。企業に対して労働分配に関する指導を強化し、給料や社会保険料の未払い、違法解雇などを取り締まる。(6)では、雇用に関する業務を地方の党・政府指導部の業績評価の重要な一部とし、就業促進・就業差別防止に向けた法律を整備し、国際的な発言力と影響力を高めるとする。

中国の8月の都市部調査失業率(注4)は5.3%で、2月以来の高水準となった。特に16~24歳の失業率は18.8%と、6月の13.2%から急上昇している(注5)。

(注1)国務院のウェブサイトに新華社報道を転載するかたちで発表されている。

(注2)未来産業については2024年2月7日記事参照

(注3)自営業、非全日制就業(パートタイマーなど)、新しい就業形態などを指す。新しい就業形態とは、インターネットプラットフォームを利用したデリバリー、配車、配送、家政サービスなどを指す。

(注4)都市部の常住人口を調査対象としたもので、労働力(失業者と就業者の和)に占める失業者の割合。16歳以上で、調査対象週に労働収入もしくは経営収入を目的として、1時間以上働いた場合を就業者とする。16歳以上で、就業者でなく、直近3カ月に仕事を探したことがあり、ふさわしい仕事があれば2週間以内に就業が可能な場合を失業者とする。

(注5)同年齢帯の失業率は2023年6月に21.3%と、統計開始以降最高となり、7月からデータの発表が停止、12月に在校生を含まない新たな定義で発表が再開された。再開後は14.9%となり、2024年5月までは14~15%台で推移していた。

(河野円洋)

(中国)

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