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米FRB、政策金利の誘導目標を0.5ポイント引き下げ、年内さらに2回分の引き下げを予想する者が最多(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月19日 11時55分

添付資料PDFファイル(402 KB)

米国連邦準備制度理事会(FRB)は9月17~18日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.5ポイント引き下げ、4.75~5.00%とすると決定した(添付資料図参照)。2022年3月から開始された金融引き締めサイクルからの大きな転換となる。市場では、今回の引き下げ幅について、0.25ポイントと0.5ポイントで見方が拮抗(きっこう)していたが、FRBは雇用情勢の軟化を踏まえて、積極的な利下げに踏み切った。

発表された声明文ではまず、インフレ率の状況に関し、依然としてやや高い水準にあるとしつつも「目標である2%に向けてさらに前進している」とインフレ抑制の進展を強調した。また、労働市場に関しては、7月と8月の雇用統計(2024年9月9日記事参照)を受けて、「減速している」と判断を下方修正した。これらを踏まえ、「インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信を深めており、雇用とインフレの目標達成に対するリスクはほぼ均衡している」と総括。インフレ目標の達成に加えて「雇用の最大化を支えることにコミットする」と強調し、今回の利下げ決定につながったと説明した。なお、今回の決定に対しては、ミシェル・ボウマン理事が0.25ポイントの利下げを主張して反対票を投じ、2022年6月以来初めて全会一致が崩れた。

今回は声明文と併せ、四半期に1度のFOMC参加者による中長期経済見通しが提示された(添付資料表参照)。主な内容は次のとおり。なお、参加者による見通しには、大統領選挙に伴う政策変更は織り込まれていないため、特に2025年以降の見通しについては相当の幅を持ってみる必要がありそうだ。

(1)FF金利

今後、どのようなペースで利下げが行われるかも注目点となっているが、2024年のFF金利の誘導目標の予測中央値は4.4%(前回6月時点の見通し5.1%)と、現在の水準(4.75~5.00%)からさらに2回分(前回見通しでは今会合を含め1回分、注)の引き下げが予想されている。2025年は4回分と前回見通しから変更はないものの、2026年は2回分(前回4回分)と利下げ幅が縮小し、前回の予想よりも早期に金融政策の調整サイクルを終えるシナリオとなっている。

各FOMC参加者のスタンスをみると、2024年の金利水準について、今後さらに3回分の利下げを見込む者が1人、2回分の利下げが9人、1回分の利下げが7人、2024年内にはこれ以上の利下げを行わないと見込む者が2人となっている。2024年内のFOMCは残すところ11月と12月の2回のみであるにもかかわらず、今後の利下げペースについては見解が相当分かれているようだ。

(2)インフレ率

2024年のインフレ率(個人消費支出、PCE)の予測中央値は2.3%、コアPCEは2.6%と、前回見通し(それぞれ2.6%、2.8%)からやや引き下げられている。現在の水準(PCE2.5%、コアPCE2.6%、2024年9月2日記事参照)と比べると、コアPCEについては依然厳しい見方をしている。2026年にいずれも2.0%を達成するというシナリオは前回見通しから変更はない。

(3)失業率

2024年の失業率の見通しは4.4%と前回見通し(4.0%)から大きく上昇し、現在の水準(4.2%)から引き続き上昇していく見通しとなっている。2025年は4.4%(前回4.2%)と高めの水準が継続し、利下げサイクルの進展に伴い2026年は4.3%(前回4.1%)、2027年以降は4.2%(前回4.2%)と徐々に低下していくシナリオとなっている。

(4)経済成長率

失業率はやや上昇するものの、経済成長率の見通しは前回からほぼ変わらず、2024~2027年にかけていずれも2.0%の成長を見込む。

(注)通常FF金利は0.25ポイントの幅で利上げ・利下げが発表される。

(加藤翔一)

(米国)

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