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米シンクタンク、中国の重要鉱物の対米輸出管理の影響解説(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月10日 1時15分

米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は12月4日、中国による重要鉱物の輸出管理強化の措置の概要や、同措置が米国の経済・国家安全保障に及ぼす影響、トランプ次期政権下の米中関係の方向性などについて、一問一答の解説を発表した。

米国は同月2日、24種類の半導体製造装置(SME)などの輸出管理対象への追加、中国の半導体・SMEメーカーなど140の事業体の輸出管理規則(EAR)上のエンティティー・リスト(EL)への掲載などの措置を発表した(2024年12月3日記事参照)。中国は12月3日、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなどの対米輸出を原則禁止し、黒鉛の対米輸出の審査を厳格化する措置を発表した(2024年12月6日記事参照)。CSISは、中国の同措置が(1)米国に標的を絞った措置であること、(2)米国による半導体の輸出管理強化への報復として重要鉱物を対象に措置が講じられたことの2点で、米中貿易戦争の文脈で前例がないと指摘した。

中国の同措置が米国に及ぼす影響については、経済安全保障と国家安全保障の両面で解説した。経済安全保障面では、対米輸出が禁止されたガリウムとゲルマニウムは次世代先端半導体の開発に不可欠なほか、対米輸出規制が強化された黒鉛は電気自動車(EV)産業に重要なことを踏まえ、米国の経済や産業への悪影響を示唆した。国家安全保障面では、幅広い防衛用途に用いられるアンチモンについて、中国が世界の生産量の48%、米国の輸入量の63%を占めることを踏まえ、輸出規制が米国の国家安全保障を損なうことになると説明した。また、中国が2024年9月からアンチモンの輸出規制を強化してきたことから(2024年8月19日記事参照)、今回の中国の措置に伴ってアンチモンの市場価格に大きな影響はないだろうとしつつ、「戦略的産業に不可欠な重要鉱物を米国から遮断した今回の措置は、米中貿易戦争をさらにエスカレートさせることを恐れていないという、北京からワシントンへの強いメッセージだ」と指摘した。

今後については、トランプ次期政権が対中強硬姿勢で臨み、追加関税を課す意向であることを踏まえ(注)、「貿易戦争がエスカレートすることは確実だ」と指摘した。さらに、中国は今回輸出管理を強化した品目のみならず、ほかの多くの品目のサプライチェーンで優位な立場にあるとして、中国が報復措置として「対米輸出の禁止を含めてさらなる輸出管理を実施する可能性が高い」との観測を示した。

(注)首都ワシントンの有力シンクタンクは、トランプ次期政権が一層の対中強硬姿勢を取るとの見立てでおおむね一致している(2024年11月25日記事11月26日記事参照)。実際にドナルド・トランプ次期大統領は11月25日、中国に対して、現在の追加関税率にさらに10%上乗せする意向を示している(2024年11月26日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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