ジェトロ、個人情報保護法の留意点に関するウェビナー開催（サウジアラビア）

ジェトロは11月12日、サウジアラビアの個人情報保護法をテーマに、ウェビナーを開催した。Clyde＆Co法律事務所からラミス・バジュナイド氏を講師に招き、2024年9月に本格施行された同国の個人情報保護法の概要について解説した。

ウェビナーではまず、バジュナイド講師が情報開示の目的制限や、必要最小限の情報開示などの情報保護の原則について触れ、同国の個人情報保護法に照らし合わせた特性について説明した。情報の正確性に関しては、個人情報保護法第14条にも規定されているとおり、情報管理者は個人情報の正確性、完全性、適時性、収集目的との関連性を確認するための十分な措置を講じることなく個人情報を取り扱うことができない。また、保管制限に関しては、個人情報保護法第11条4項にも規定されているとおり、情報管理者は収集された個人情報が目的のために必要でなくなった場合は、不当な遅延なく該当情報を破棄する必要性があることを指摘した。

講師は続いて、同国の個人情報保護法について説明した。同法は2021年9月14日に閣議決定された後、2022年3月から施行予定だったが、各方面から改正要求があったため、施行時期が延期された。2023年3月に発表された改正案が同年9月に施行され、2024年9月14日に企業による1年間の関連規則への準備期間が終了したばかりだ。同期限が迫っていた9月1日に、同法を補完する個人情報の国外移転に関する規則の改正が、標準的な契約条項や共通規則などを盛り込んだガイドラインとともに発表された（2024年9月6日記事参照）。これにより、情報管理者は個人情報を国外移転、または開示するために必要な条件が免除される場合があることが明らかになった。一方、個人情報保護法第3条に規定されているとおり、データ主体に付与する権利、または他の法律もしくは国際協定に従う個人情報保護規定を損なうものではないことを指摘した。

最後に、参加者への提言として、データマッピングを実施し、関連する全ての個人情報の記録を特定することや、個人情報の保持・破棄、移転、リスク評価など情報対象者へ最良の保護を提供するための方針と通知方法を策定すること、社内のデータガバナンス組織の整備とプロセスを確立することなどを講師が助言した。

（平田若菜）

（サウジアラビア）