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通貨ペソが2023年1月以来の最安値に、キャリートレード巻き戻しの影響も(メキシコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月9日 10時50分

添付資料PDFファイル(197 KB)

日米間の金利差がより縮小する観測が強まり、キャリートレード(注)の巻き戻しなどの投資家の動きも加わって、7月初頭には1ドル160円台に達した為替は、8月5日には一時141円台を記録する円高ドル安となった。この影響はメキシコの通貨ペソにも波及し、同日の為替は2023年1月3日以来のペソ安(1ドル=19.39ペソ、インターバンクレート、48時間もの、終値)となった(添付資料図参照)。

6月から7月初頭にかけて、クラウディア・シェインバウム次期大統領が閣僚候補を順次発表する中、市場に比較的安心感がもたらされたこともあり、ペソは回復傾向にあった。しかし、7月中旬以降は、あらためて9月からの新議会による憲法改正を伴う司法改革に向けた動きの活発化が意識されたほか、米国の経済指標が芳しくないことに加え、米国テスラによるメキシコへの工場投資の一時停止の報など、内外要因で徐々にペソは後退した。7月31日の日本銀行の金融政策決定会合で利上げ、8月1日(いずれも日本時間)の米国の連邦公開市場委員会(FOMC)による9月利下げの可能性を示唆する声明が発表されると、日米の金利差縮小が意識され、主に円高要因により、円が主要通貨に対して軒並み高く推移した。ペソに対しては、その高金利を求めて、円からもドルからもキャリートレードが行われている。リスクオフ局面では資金が引き上げられ、結果としてペソは大きく後退した。

利下げタイミング難しく

シティバナメックス銀行(Citibanamex)が8月5日付けで発表したアンケートによると、全33人のアナリストのうち18人が、9月のメキシコ中央銀行金融政策決定会合で現在11.0%の銀行間翌日物金利の誘導水準(政策金利)が25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げられ、10.75%になると予想している。前回7月に発表された同アンケートでも、8月の金融政策決定会合での政策金利引き下げを予想する声が多かったが、利下げにいま踏み切るとドルとの金利差が縮小するほか、ペソ安を通じた輸入インフレも助長しかねないとして、慎重な対応を求める声が多い。

(注)低金利の通貨で資金を調達し、高金利の通貨で運用する取引を指す。

(中島伸浩)

(メキシコ)

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