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米商務省、サプライチェーンサミットを初開催、IPEF通じた協力も議論(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月12日 13時10分

米国商務省は9月10日、首都ワシントンでシンクタンクの外交問題評議会(CFR)と共同で、第1回サプライチェーンサミットを開催した。産学官の関係者がサプライチェーンの強靭(きょうじん)化について議論した(注1)。

サミットの冒頭セッションに登壇した商務省のジーナ・レモンド長官は「米国のサプライチェーン強靭化が国家安全保障の確保と経済競争力の強化に不可欠だ」「われわれは、新型コロナウイルスのパンデミック時に米国民のコストを押し上げたようなサプライチェーンの混乱を未然に防ぎ、地域社会に新たな経済機会を創出するために、産業界と協力し、分析的かつ積極的な取り組みを行っている」と述べた。具体的な取り組みとして、サプライチェーンのリスク分析ツール「スケール(SCALE)」を同省国際貿易局(ITA)の業務に新たに導入すると発表した。分析ツールは地政学的リスクや中間財・原材料の調達先の地理的集中、労働力不足、自然災害などに関する40以上の指標を用いて、産業分野横断的にサプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性を分析し、リスク要因を特定する。同省が同日に発表したファクトシートによると、こうした分析結果をサプライチェーン強靭化に向けた政策立案などに役立てる。なお、分析ツールは一般には提供されない(通商専門誌「インサイドUSトレード」9月11日)。

「インド太平洋のパートナーとの強靭性構築」のセッションでは、インド太平洋経済枠組み(IPEF)のサプライチェーン協定(注2)を通じたIPEF参加国間でのサプライチェーン強靭化の取り組みについて、インド、シンガポール、マレーシア、ニュージーランドの政府担当者が議論した。ニュージーランド政府の担当者は、同協定の交渉開始から署名、発効まで2年足らずで進展したことについて「全参加国にとって、このサプライチェーン強靭化のテーマがいかに重要であるかを示している」と説明した。また、IPEFサプライチェーン協議会で副議長国を務めるインドの政府担当者は、同協定の下に重要分野や重要物品に関する行動計画チームや、その行動計画の実施に向けた小委員会を設置することなど、今後の進展に期待を示した。マレーシア政府担当者は、同協定の下に設置された危機対応ネットワークについて、同国の半導体産業を引き合いに、半導体製造は原材料、製造技術、労働力などを含む複雑なサプライチェーンに支えられており、自国だけではサプライチェーン途絶時の対応に制約があるとして、同ネットワークを通じて参加国の優先順位や産業を理解・共有することができるとの意義を述べた。

(注1)サミットは商務省国際貿易局(ITA)のウェブサイトから録画視聴が可能。

(注2)2023年11月に署名され、2024年2月に発効した。サプライチェーン協定を含めたIPEFの交渉進捗や協定発効状況は、2024年8月27日記事特集ページ「IPEFの動向」も参照。

(葛西泰介)

(米国)

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