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中央アジア諸国、内陸開発途上国支援や水資源保護を提唱(アゼルバイジャン、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月20日 11時20分

アゼルバイジャンのバクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29、2024年11月12日記事参照)の首脳級会合の「世界気候行動サミット」で11月12日、中央アジア4カ国の首脳が演説した。各首脳は、途上国の気候問題解決のための資金や技術提供、水資源の保護などについて支援を求めた。概要は次のとおり。

〇カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領:同国が2060年までにカーボンニュートラルを達成するという目標をあらためて確認した。気候資金の「新規合同数値目標」(NCQG、2024年11月15日記事参照)については、内陸開発途上国をはじめとする気候変動に対して最も脆弱(ぜいじゃく)な地域に焦点を当て、予測可能な資金調達と先端技術へのアクセスを確保する必要があると訴えた。

〇ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領:気候変動の影響が深刻化し、貧困の克服、食糧とエネルギーの安全保障、水と資源へのアクセスの問題が悪化の一途をたどっているとした上、国際気候変動被害・損失評価センターや内陸国向けの国連イノベーション農産業ハブなどの設立、国境を越えた水資源の保護を提唱した。

〇キルギスのサディル・ジャパロフ大統領:NCQGの早期採択への支持を表明し、気候資金の枠組み内で先進国が発展途上国への援助額を2兆ドルに増額することを求めた。また、近隣諸国と協力してカンバル・アタ第1水力発電所建設プロジェクトを実施していることに言及した(2023年1月16日記事参照)。

〇タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領:氷河の融解に伴う問題に注意を喚起し、ドゥシャンベに氷河学地域調整センターを設立することを提唱した。

また、アゼルバイジャン、ウズベキスタン、カザフスタンは13日、グリーンエネルギーの開発・移転分野の戦略的パートナーシップに関する3者協定に署名した。同協定では、各国で将来生産されるグリーンエネルギーの欧州向け輸出と、そのための黒海海底ケーブルなどのインフラ開発に主眼を置いている(2024年5月16日記事参照)。

ウズベキスタン・エネルギー省とアラブ首長国連邦(UAE)のマスダールも13日、発電容量1,000メガワット(MW)の風力発電所建設契約を締結した。ウズベキスタン政府発表によると、同発電所は同国ナボイ州に建設予定で、年間35億キロワット時(kWh)の電力を生成し、10億立方メートルの天然ガスを節約でき、温室効果ガス(GHG)排出を140万トン削減できると試算されている。

また、カザフスタンを含む6カ国は13日、2050年までの「原子力3倍化宣言」(2023年12月6日記事参照)に署名した(注)。同国では10月の原子力発電所建設の是非を問う国民投票で7割以上が賛成票を投じ、原発建設に向けた準備が始まったばかりだ(2024年10月10日記事参照)。

(注)カザフスタンのほかに署名した国は、エルサルバドル、ケニア、コソボ、ナイジェリア、トルコ。これにより、同宣言を支持する国の総数は31カ国となった。

(小林圭子)

(アゼルバイジャン、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)

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