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サイード大統領、新首相任命後に大幅な内閣改造を実施(チュニジア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月6日 1時5分

添付資料PDFファイル(110 KB)

チュニジアのカイス・サイード大統領は8月25日、大幅な内閣改造を実施した。29人の閣僚のうち外務・移民・在外チュニジア人相、国防相などを含む19大臣と4担当大臣を入れ替え、前内閣から留任となった大臣は内務相、法務相、財務相、産業・鉱山・エネルギー相、設備・住宅相の5人にとどまった。担当大臣は産業・鉱山・エネルギー相付エネルギー移行担当相が留任となった(添付資料表参照)。10月6日に予定される大統領選挙まで6週間という時期に行われたこの大幅な内閣改造は、2024年8月7日のアフメド・ハシャニ首相の突然の解任に続くサイード大統領による突然の決定だった。首相の後任には官僚出身で、年金・社会保障機構(CNRPS)、健康保険機構(CNAM)の理事長を歴任し、2024年5月25日に社会問題相に就任したばかりのカメル・マドゥーリ氏(50歳)が任命された。

サイード大統領は内閣改造の直後のあいさつで、解任の対象となった閣僚の非効率さを非難し、「閣僚の改造は、国家安全保障を確保するために必要だった」と説明した。

9月2日には大統領選挙の最終立候補者名簿が発表され、サイード現大統領、アヤシ・ザメル氏(実業家で自由主義系の政党の党首)、ズハイル・マグザウィ氏(汎アラブ左派の元国会議員)の3人が正式な立候補者となった(注)。主要な反体制派候補の大半が国家反乱罪などで逮捕され、立候補を却下されたことで、サイード大統領の再選はほぼ確実とみられる。多くの海外メディアは、今回の大幅な内閣改造は、大統領選挙に先立ち、政権への支配力を強化したいという同大統領の意向によるもの、と報じている。

チュニジア人の政治学者はジェトロのインタビューに対して、「現在、多くの友人が裁判も受けずに投獄されている状況のため、公的な場で発言を避けたい」として匿名でチュニジアの現状を説明し、「内閣改造という点では実際にチュニジアで何が起こっているのかは不透明だが、同時にサイード大統領の政策に対する抵抗勢力が目に見えて現れており、今回の大統領選挙を通じて大統領が望む得票を妨げる可能性がある」と述べた。

(注)候補者名簿が発表された同2日にザメル氏が逮捕されたとの報道があるが、9月5日時点では最終立候補者名簿の修正などは特に行われていない。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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