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欧州議会中道3会派、欧州委員人事案で合意、欧州委員会新体制は12月1日発足へ(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月25日 10時30分

欧州議会の欧州人民党(EPP)グループ(中道右派)、社会・民主主義進歩連盟(S&D)グループ(中道左派)、欧州刷新(Renew)グループ(中道)の親EU中道3会派は11月20日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(EPP)の2期目に向けた欧州委員人事案(2024年9月25日記事参照)に合意した。EPPとS&Dは、EU懐疑派候補者の処遇を巡って人事案で対立していたが、最終的には候補者の差し替えは行わず、ほぼフォン・デア・ライエン委員長の提案どおりとなった。欧州議会は11月27日に人事案に対する信任投票を予定している。単純多数決で信任されれば、12月1日にもフォン・デア・ライエン委員長率いる欧州委員会の新体制が発足する。

争点となったのは、フォン・デア・ライエン委員長による欧州保守改革(ECR)グループ(右派・一部極右)に所属するイタリアのラッファエレ・フィット候補の執行副委員長への指名の是非だ。S&Dなどは、執行副委員長という重要ポストをEU懐疑派の右派ECRに配分したことに反発し、信任しない方針を示していた。一方で、EPPはS&Dがフィット候補を信任しない場合、委員長に次ぐ重要ポストに指名されたスペインのテレサ・リベラ候補(S&D)を信任しないとし、交渉は膠着状態に陥っていた。最終的にリベラ候補への信任を得るべく、S&Dが折れた格好だ。

また、ハンガリーのオリベール・バールヘイ候補(保健衛生・動物福祉担当)についても、S&DやRenewは、EU懐疑派の極右、欧州の愛国者(PfE)グループ所属であることから、難色を示していた。交渉の結果、保健衛生のうち、ワクチン政策を含む危機管理、性や生殖に関する権利などの分野をベルギーのハジャ・ラビブ候補(Renew)に移管することで決着した。

親EU中道会派で再合意も、EPPの影響力は拡大

親EU中道会派は、フォン・デア・ライエン委員長の続投(2024年7月19日記事参照)の支持で連立合意をしていたが、今回あらためて、委員長の政治指針(2024年7月30日記事参照)に基づき、今後5年間協力することを署名で合意した。ただし、政治専門紙「ポリティコ」(11月20日)は今回の合意は実効性に乏しいと指摘。EPPは親EU中道会派だけでなく、極右を含むEU懐疑派の右派と法案ごとに協力し、多数派を形成することができると分析している。実際、森林破壊防止デューディリジェンス規則の改正(2024年10月18日記事参照)で、EPPはS&Dなどの反対を押し切り、EU懐疑派の右派と協力し修正案を採択したばかりだ。

(吉沼啓介)

(EU)

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