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2025年の成長率は中東・北アフリカ地域で3.8%、GCC諸国で4.2%との予測(中東、湾岸協力会議(GCC)、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月22日 1時15分

世界銀行は10月16日、中東・北アフリカ(MENA)地域の経済見通しに係る報告書「中東・北アフリカの成長」を発表した。MENA地域のGDP成長率は、2023年に1.8%だったところ、2024年には2.2%となるものの、石油減産方針や紛争による影響により緩やかな成長にとどまる見通しだ(2024年10月18日記事参照)。2025年には、MENA地域の成長率は3.8%に加速が⾒込まれる。特に石油を生産する湾岸協力会議(GCC)6カ国では、⽯油減産方針の段階的な緩和により、2024年の1.9%から2025年には4.2%まで上昇すると⾒込まれる。

2025年のGCC諸国の成長率予測は高い順に以下のとおり(かっこ内は2024年の数値)。

サウジアラビア:4.9%(1.6%)
アラブ首長国連邦(UAE):4.1%(3.3%)
バーレーン:3.3%(3.5%)
カタール:2.7%(2.0%)
オマーン:2.7%(0.7%)
クウェート:2.5%(マイナス1.0%)

長期的に成長も、移民増により1人当たりGDPは減少

MENA地域のGDPは1970年から2019年の間に5.6倍に増加し、特にGCC諸国では同期間で6.1倍(年率3.7%)の成長を遂げた。

一方、GCC諸国の1人当たりGDPは、1970年の平均6万3,165ドルから2019年の5万2,897ドルまで、16.5%減少した。MENA地域では同期間に62%増加したが、新興国および発展途上国(EMDE)の約4倍の伸び、先進国の約2倍の伸びには及ばない。これは、特にGCC諸国における低所得の移民労働者の受け入れ急増による影響が大きい。1970年から2019年の間に、MENAの人口は3.4倍、GCC諸国は7.3倍となった。GCCの移民受け入れは2020年までに3,000万⼈以上に急増し、カタールでは人口の約80%、UAEでは人口の約90%を移民が占めるようになった。

民間従業員の増加などが将来の成長要因に

報告書は、MENA地域における女性の労働参加率が19%で、世界最低水準である点に触れ、男女間の雇用格差を解消すれば、MENA地域の1人当たり所得は51%増加するとの見込みを示した。また、MENA地域では、公共部門の従業員の割合が世界でも高いが、民間部門の従業員が増加することで、生産性を最大45%向上させることができるという。さらに、報告書では、新たな技術の受け入れ活用、非石油輸出の増加、各種統計データの透明化などが進めば、MENA地域の成長を後押しすると指摘した。

なお、サブサハラ・アフリカ地域のGDP成長率は2023年に2.4%だったが、2024年には3%となり、2025年には4%台に加速する見通しだ(2024年10月17日記事参照)。

(井澤壌士)

(中東、湾岸協力会議(GCC)、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦)

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