エジプト・中国両首脳が共同声明を発表、中国からの投資拡大目指す（エジプト、中国）

エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領と中国の習近平国家主席は5月29日、北京で会談し、共同声明を発表した。エルシーシ大統領は、5月28～31日にかけて中国・アラブ諸国協力フォーラム参加のため、中国を訪問していた。

共同声明で両首脳は、エジプトで開発が進む新行政首都の金融・ビジネス地区の建設への中国の参加、スエズ運河経済特区への中国の投資、エジプトの人工衛星MisrSat-2の打ち上げへの中国の協力、パンダ債の発行（2023年11月7日記事参照）など、経済面での協力の成果を強調した。今後は、エジプトにおける産業の現地化と技術移転を推進し、近代農業技術、電気自動車、電子機器、太陽光パネルの生産、化学工業、建材製造など中国によるエジプトへの産業投資の拡大に取り組むという。また貿易については、エジプト製品の中国市場への参入拡大、エジプトにおける現地生産のための部品・材料の中国からの輸入拡大に加え、両国の現地通貨で貿易取引を決済する方法について協議すると述べた。

エジプト中央銀行によれば、会計年度2022/2023年度（2022年7月～2023年6月）におけるエジプトに対する中国の直接投資額は約9億6,000万ドルで、全体の4.2％程度にすぎないが、近年、特にスエズ運河経済特区での動きが活発化している。スエズ運河経済特区庁（SCZONE）の発表によれば、2023年10月に天津経済技術開発区（TEDA）との間で締結された20億ドル規模の投資を含む開発協定の締結以降、パイプ、ガラス、臭素の製造、鋳鉄工場の建設などのプロジェクトが相次ぎ発表された。エジプトのムスタファ・マドブーリー首相は中国の投資について、協定の締結当時、「SCZONEは中国の投資による両国の経済協力のモデルを生み出しており、さらなる投資を歓迎する」と述べている。

（塩川裕子）

（エジプト、中国）