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バイデン米大統領、メキシコ産鉄鋼・アルミ製品に対する232条追加関税の適用除外に要件追加(米国、メキシコ、カナダ、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月12日 10時45分

米国のジョー・バイデン大統領は7月10日、メキシコ産の鉄鋼とアルミニウム製品に対して、1962年通商拡大法232条に基づく追加関税措置の適用外となる要件を追加する大統領布告を発表した(鉄鋼アルミ)。今回示した要件を満たせない場合、メキシコ産の鉄鋼・アルミ製品は追加関税の対象となる。

232条は、特定製品の輸入が米国の国家安全保障に影響を及ぼすと判断される場合に、大統領に関税賦課など輸入制限措置を発動する権限を認めている。ドナルド・トランプ前大統領が2018年3月に、232条に基づき、鉄鋼・アルミニウム製品に対してそれぞれ25%、10%の追加関税を賦課したが、米国はその後、メキシコに対して追加関税の適用除外を決定していた(2019年5月20日記事参照)。

今回発表した大統領布告によると、メキシコ産の鉄鋼製品は、メキシコ、カナダまたは米国で溶鉄し、型に流し込まれた場合に、アルミニウム製品は、一次製錬国、二次製錬国、または直近の鋳造国が中国、ロシア、ベラルーシ、イランではない場合に限り、232条に基づく追加関税の対象外となる。なお、一次製錬国は、ホール・エルー法により、製錬されたアルミナ(または酸化アルミニウム)から新規アルミニウム金属が最も多く生産された国、二次製錬国は、2番目に多く新規アルミニウム金属が生産された国と定義される。直近の鋳造国は、合金元素を含んでいるか否かを問わず、アルミニウムが最後に熱によって液化され固体状態に鋳造された国を指す。最終的な固体は半製品(スラブ、ビレット、インゴット)または完成アルミニウム製品のいずれかの形態でもよい。

今回の布告により、輸入者は通関時に、鉄鋼製品ならば溶鉄して型に流し込んだ国を、アルミ製品ならば一次製錬国、二次製錬国、直近の鋳造国を特定できる情報を、米国税関・国境警備局(CBP)に提出しなければならない。また、今回の布告によって定めた要件は7月10日午前0時1分(米国東部夏時間)以降に通関された製品に対して有効になっている。ただし、それ以前に外国貿易地域(FTZ)に蔵置され、7月10日午前0時1分以降に通関した場合は、今回の布告の対象とはならない。

米国はかねて、中国で過剰生産された製品の流入を懸念していた(注1)。昨今では、第三国、特にメキシコを経由した流入に対する懸念も高まっており、鉄鋼・アルミ製品については、メキシコからの輸入量モニタリング強化のため、両国で共通した関税分類番号の作成などで合意していた(2024年3月4日記事参照、注2)。今回の決定に際し、国家経済会議(NEC)のラエル・ブレイナード委員長は「これらの措置は、前政権が対処できず、中国のような国がメキシコ経由で製品を出荷することで米国の関税を回避していた大きな抜け穴を修正するものだ」と、メディアブリーフィングで述べた(政治専門紙「ポリティコ」7月10日)。

(注1)例えば、ジャネット・イエレン財務長官は過剰生産に対する懸念を繰り返し表明している(2024年4月10日記事参照)。

(注2)鉄鋼・アルミ製品のほか、中国製電気自動車(EV)のメキシコ経由の流入に対する懸念も高まっている(2024年7月3日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、メキシコ、カナダ、中国)

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