再エネ支援スキームCfD第6回オークションの結果公表、洋上風力が復活(英国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月6日 11時15分
英国政府は9月3日、再生可能エネルギー(再エネ)支援スキームの差額決済契約(Contracts for Difference:CfD)制度(注1)による第6回オークションの結果を発表した。太陽光や洋上風力、陸上風力など131のプロジェクトで合計約9.6ギガワット(GW)が約定した。これは英国の1,100万世帯の電力を賄える規模に相当する。予算枠の拡大措置も経て、過去最大となる15億ポンド超(約2,835億円、1ポンド=約189円)が割り当てられていた(2024年8月7日記事参照)。世界的なインフレとサプライチェーンへの影響が原因で洋上風力の応札がなかった前回の第5回オークションでは、95プロジェクトで約3.7GWが約定しており、容量は大幅増、件数は過去最大となった(2023年9月15日記事参照)。
洋上風力が約4.9GW(注2)、太陽光が約3.3GW、陸上風力が約990メガワット(MW)それぞれ約定した。また、確立途上の技術として浮体式洋上風力が400MW、潮流発電が約28MWが約定した(英国政府発表)。
前回応札がなかった洋上風力については、合計で9プロジェクトが選定された。デンマークのエネルギー企業オーステッドのヨークシャー沖に位置するホーンシー3とホーンシー4が含まれ、欧州で最大の規模を誇る。浮体式洋上風力については、東京電力リニューアブルパワー子会社のフローテーションエナジーが手掛けるスコットランド沖のグリーンボルトが選定された。
再エネ企業の業界団体リニューアブルUKは入札結果について声明を発表し、「洋上風力の入札がゼロだった前年のオークションの失敗を経て、英国市場への投資家の信頼が回復しつつあることを示している。9つの洋上風力プロジェクトが、メガワット時(MWh)当たり54~59ポンドで契約を確保した。これは最近の世界的なオークションと同水準で、インフレと高金利による資金調達コストの影響を反映している」とした。
(注1)発電事業者の再エネへの投資リスクを減らすため、運転開始から15年間、対象となる電源の固定価格(ストライクプライス)と市場価格の間の変動する差額を政府が補填(ほてん)する制度。事業者はオークションで、技術ごとに固定価格と設備容量を提示して競う。
(注2)洋上風力プロジェクト9プロジェクト(合計約4.9GW)のうち7プロジェクト(合計約1.6GW)は許容削減制度を利用したもので、過去のラウンドで選定されたプロジェクトの当初の容量の最大25%を取り崩し、単体のプロジェクトとして入札することができる制度。
(奈良陽一)
(英国)
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