香港、初のGaN半導体のパイロットライン開設(香港)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月13日 0時25分
香港特別行政区政府系の研究開発施設の香港サイエンスパーク(HKSTP)とマスフォトン(MassPhoton)は7月30日、香港では初となる「窒化ガリウム(GaN)半導体ウエハーパイロットライン」を開設し、香港でマイクロエレクトロニクス・エコシステムと第3世代半導体チップ産業の発展を推進する方針を示した。
マスフォトンは世界をリードする第3世代半導体のコア技術を持ち、高効率発光デバイス材料となるGaN半導体ウエハーを製造する企業。同社はGaNエピタキシャル技術(注)の研究のため、HKSTPに約2億香港ドル(約38億円、1香港ドル=約19円)を投資し、専門の研究開発チームを編成、グローバル研究開発センターを設立した。同社はさらに、HKSTP内に香港初のGaN半導体ウエハーパイロットラインを開設し、量産化後には香港域内外の専門家を対象に、マイクロエレクトロニクスに関連する250人超の新規雇用を行う目標を掲げた。このほか、同社は香港の高等教育機関などと協力し、最先端の第3世代GaN研究開発プロジェクトを行う予定だ。
創新科技・工業局の孫東局長は開設式で、「マスフォトンによる研究開発センターの建設は香港政府が掲げる第3世代半導体チップ産業を中心とした『新産業化』を促進させるだろう。香港の国際的優位性と高度研究能力を最大限に発揮し、テクノロジー産業の発展を支援しなければならない」と強調した。また、今後の半導体産業発展について、「香港マイクロエレクトロニクス研究開発センターは年内に稼働する予定だ。このセンターでは、炭化ケイ素(SiC)とGaNの2つのパイロットラインを設置し、スタートアップ企業や中小企業による実証実験を支援する。これにより、産学研究連携での第3世代半導体コア技術開発の強化を目指す。香港政府は今後も積極的に半導体メーカーなどの先進製造技術を有する企業を香港へ誘致し、相乗効果を高め、香港でマイクロエレクトロニクスとその他の技術産業の大きく、力強い成長を推進する」と表明した。
さらに、同局長は今回のマスフォトン誘致による専門の研究開発チーム編成の効果について、「世界のマイクロエレクトロニクスの専門家が香港に集まり、技術交流の促進にもつながる。これは、7月に中国共産党が第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)で採択した『改革のさらなる全面深化と中国式現代化の推進に関する決定』に示された香港の役割に対応するものだ」との見方を示した。
(注)半導体製造の薄膜結晶成長技術の1つ。半導体の単結晶の基板上に新しく単結晶の薄膜を成長させる。
〔何樂晴(エスター・ホー)〕
(香港)
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