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水素燃料電池が動力の商用フェリー、世界で初めて米サンフランシスコで運航開始(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月23日 1時10分

米国カリフォルニア州のサンフランシスコ・ベイ・フェリーと官民パートナーのグループは7月19日、二酸化炭素(CO2)排出ゼロの水素燃料電池を動力とする世界初の商用旅客フェリー「MVシー・チェンジ(MV Sea Change)」の運航を開始した。このフェリーはサンフランシスコのピア41とダウンタウンのフェリーターミナル間の約10分の航路を半年間、実証実験として運航する。

この船は、ワシントン州のオール・アメリカン・マリンがカリフォルニア州大気資源委員会(CARB)から300万ドルの助成金を得て開発した、全長70フィート(約21.3メートル)、75人乗りの双胴船フェリーで、2018年創業のスタートアップのスイッチマリタイム(SWITCH Maritime)が保有している。360キロワット(kW)の米カミンズ製燃料電池と容量246キロのノルウェーのヘキサゴンプルス製の水素貯蔵タンクで構成された水素燃料電池動力パッケージは、2018年創業のカリフォルニア州スタートアップのゼロエミッション・インダストリー(ZEI)が提供し、100kW時(kWh)のリチウムイオン電池と2基の300kW電気推進システムと統合されている。

海運業の脱炭素、水素活用を目指した取り組み

筆者が乗船したところ、エンジン音は従来の船に比べて小さく、船外も船内も非常に静かだった。排出されるのは水だけ、その水は飲み水として船内で飲むことができるようになっている。

写真 MVシー・チェンジ号の船外(左)と船内(右)(ともにジェトロ撮影)

MVシー・チェンジ号の船外(左)と船内(右)(ともにジェトロ撮影)

スイッチマリタイムのペイス・ラリー最高経営責任者(CEO)はジェトロの取材に対し、「今回の実証実験は海運業の脱炭素化を進める第一歩で、将来的にはさらに大きなゼロエミッション船を運航したい。それに向けた航続距離の延長などのために、より多くの電力と貯蔵容量が必要だ。テクノロジープロバイダーや機器プロバイダーとの協力が重要で、日本の企業とも協業していきたい」と述べた。また、水素動力システムを提供したZEIのジョー・プラットCEOは「ZEIが開発し、水素を移送する「FTケース」の技術がこの船にも活用されている。将来的には再生可能エネルギーから水素を製造するコストが軽油よりも安くなっていくだろう。水素の開発・利活用では、カリフォルニア州、日本、ドイツが進んでいるが、どの国でも予想よりも早く水素を活用する時代が来るだろう。日本でも将来的に事業を展開したい」と述べた。

(芦崎暢)

(米国)

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