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米国際貿易委、セーフガード調査でファインデニールPSFの輸入増加を損害認定(米国、日本、カナダ、メキシコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月12日 13時30分

米国国際貿易委員会(ITC)は7月9日、ファインデニールのポリエステル短繊維(PSF)の緊急輸入制限(セーフガード)措置の発動調査に基づき、同製品の輸入増加が国内産業に重大な損害を与える実質的要因になっていると認定した。

セーフガードは、ある製品の輸入が急増して輸入国の産業に重大な損害を与えている場合に、当該輸入国政府が発動する関税引き上げや輸入数量制限の措置で、WTOのセーフガード協定で認められている。米国内法では、1974年通商協定法201条で、ITCによる国内産業への重大な損害、またはその恐れの存在の認定(損害認定)に基づき、一定期間(原則4年、最長8年)に限り、全ての輸入国に対して特定産品にかかる関税の引き上げや関税割当(TRQ)などのセーフガード措置を発動する権限を大統領に与えている(注1)。

ITCは2024年2月からファインデニールPSFに関するセーフガード調査を行っていた(2024年3月13日記事参照)。輸入増加と国内産業への重大な損害との因果関係を確認したため、ITCは救済措置の検討に進む。ITCは7月23日に救済措置に関する公聴会を開催し(注2)、8月26日までに措置内容の勧告を含めた報告書を大統領に提出する。大統領はITCの報告を受領後60日以内にセーフガード措置の内容(実施の有無を含む)を決定し、決定後15日以内に措置を実施する。セーフガード措置が発動されれば、日本を含め、原則として全貿易相手国からの輸入が対象になる。

なお、WTOのセーフガード協定第9条は、一定の条件を満たす開発途上国からの輸入に対して、セーフガード措置の適用除外を定めている。また、米国が締結する自由貿易協定(FTA)には、FTA締結国からの輸入が米国内産業の重大な損害に大きくは寄与していない場合に措置の適用対象外とする規定を盛り込んでいることもある。今回の発表では、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を締結するメキシコとカナダ2カ国からの輸入は、輸入全体の実質的な割合を占めていないとした。そのほかのFTA締結国からの輸入も、国内産業に重大な損害を与える、またはその恐れがある実質的要因になっていないとした。

なお、ITC輸入統計によると、セーフガード調査対象のファインデニールPSF(注3)の2023年の米国輸入額(通関ベース)は1億7,804万ドル。輸入額上位の国・地域は、タイ(構成比35%、6,300万ドル)、インド(22%、3,914万ドル)、台湾(12%、2,158万ドル)、インドネシア(8%、1,430万ドル)、メキシコ(6%、1,000万ドル)など。日本は0.2%(28万ドル)を占める。

(注1)大統領が取り得る措置は1974年通商協定法203条(a)(3)項で規定されている。これらの措置には、関税の賦課・引き上げ、TRQ・輸入割当(IQ)の実施のほか、外国との通商交渉による解決や、米国内の産業構造調整に向けた援助措置の実施などが含まれる。

(注2)救済措置の公聴会での証言希望者は7月17日までに申し込む必要がある。

(注3)米国関税分類番号(HTSコード):5503.20.0025。

(葛西泰介)

(米国、日本、カナダ、メキシコ)

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