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米USTR、USMCAに基づくパネル設置を要請、メキシコの採掘施設での労働権侵害を巡り(米国、メキシコ、カナダ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月16日 11時50分

米国通商代表部(USTR)は12月12日、メキシコ中部サカテカス州の金銀採掘施設での労働権侵害の疑いを巡って、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に基づき、パネルの設置を要請したと発表した。

RRMは、事業所単位で労働権侵害の有無を判定する手続きで、違反が認められれば、USMCAによる特恵措置の停止などの罰則が適用され得る。USTRは2024年8月に、メキシコ中部サカテカス州マサピルに所在するミネラ・カミーノ・ロホ(Minera Camino Rojo、注1)の金銀採掘施設での労働権侵害の疑いについて、メキシコの労働組合の申し立てを受け、RRMに基づいてメキシコ政府に事実確認を要請していた。

USTRが発表したパネル設置要請文によると、メキシコ政府は、同施設で使用者が組合活動に不当に干渉したなど労働権侵害の一部を認定しつつも、労働者の組合活動を理由に解雇の脅迫を行った兆候はないなどとして一部を否定したほか、使用者が労働者に対して労働権に関する研修を行うなど是正措置を講じたなどと判断していた。USTRはこれに対して、米国政府とメキシコ政府が労働権侵害の是正措置で合意に達しておらず、労働権侵害は現在も続いているとして、パネルによる検証を求めた。USMCAの規定に従い、パネル設置要請から3営業日以内に今回の案件を担当するパネリストが選定される予定だ。被申し立て国のメキシコがパネルによる検証に合意した場合、パネルは30日以内に検証を行う必要がある。

USTRのキャサリン・タイ代表は発表の中で、「本日のパネル設置要請は、労働者の権利と尊厳を守るために力を尽くすというバイデン・ハリス政権の強い決意を示す新たな明確な例だ」と述べた。RRMに基づくパネル設置要請は、今回が3件目となる(注2)。これまでのRRMに基づく措置については、USTRまたは労働省のウェブサイトを参照。

(注1)ミネラ・カミーノ・ロホは、カナダ企業のオーラ・マイニングが所有する。

(注2)1件目は、メキシコの鉱山での労働権侵害の疑いを巡って設置された案件(2024年5月16日記事参照)。2件目は、メキシコのコールセンターでの労働権侵害の疑いを巡って設置された案件(2024年4月17日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、メキシコ、カナダ)

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