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日ASEANのデジタル医療に関するウェビナー、日本アセアンセンターが開催(ASEAN、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月20日 1時25分

日本アセアンセンター(注)は7月19日、日本とASEAN諸国のデジタル医療をテーマにしたウェビナー「国境なき健康:ASEANと日本のデジタルヘルスサービスの推進」を開催した。ウェビナーには同センターに加えて、海外からマレーシア技術・イノベーション研究加速機関とシンガポール科学技術研究庁「A*STAR」、日本からASEANの医療専門スタートアップ企業と法規制に詳しい民間シンクタンクの代表者が出席した。

同センターによると、東南アジア全域での新型コロナウイルス感染拡大の影響で、医療アクセスが制限されたことを受けて、遠隔医療サービスの導入を加速化させるための規制が柔軟になる動きが見られた。しかし、ヘルスケアとデータ保護のガイドライン策定や、医療データシステムの相互運用性などといった法規制や制度面に、いまだ課題があると指摘している。このような経緯から、今回のウェビナーでは、デジタル技術や人工知能(AI)を活用するための法律や制度に着目し、より強固なデジタル・ヘルス・エコシステムを確立するために、日本とASEANでの同サービスの課題や今後の戦略などについて、意見交換を行った。

同センターのカトリーナ・ナボーロ氏が登壇し、シンガポールのシンクタンク「Tech for Good Institute」との共著の報告書「ASEANのデジタルヘルス導入の評価」を取り上げ、ASEANのデジタルヘルスサービス導入に向けた主な課題と、推進するための戦略への見解を述べた。同氏によると、ASEANのこの分野に関わる統計データの分析と、現地医療関係者へのインタビューを実施した結果、次のような知見を得られたという。

【課題】

1. データ保護とサイバーセキュリティに対する信頼の欠如。
2. ASEAN域内におけるデジタルヘルスシステムの分断。

【デジタルヘルス推進のための戦略】

1. データ保護とガバナンスに関する法規制や政策の効力を強め、信頼構築をすること。
2. ASEAN域内でのデータの相互運用性に関する基準を策定すること。
3. 各国の担当省庁がデジタル関連のスタートアップ企業を支援し、イノベーションやデジタル医療エコシステムを推進すること。
4. 医療従事者によるデジタルヘルス研修サポートを推進すること。

登壇した専門家らは質疑応答の際に、同サービスを今後普及していくに当たり、データ保護の重要性を強調した。メディカルデータや個人情報を保護するためにAIを活用し、企業がクラウドを用いてデータ管理を徹底することや、政府がAIガバナンスや倫理に関する法規制を整備することで、医療エコシステムでデジタル技術が適切に活用される「信頼の文化をつくる」必要性をあらためて共有した。

なお、2023年9月からASEANではデジタル経済化促進に向けて、デジタル貿易、電子商取引、デジタル決済、サイバーセキュリティーなどの域内のルール・規則を調和させるため、「デジタル経済枠組み協定(DEFA)」の締結に向けて交渉中だ。

(注)日本アセアンセンターは、1981年にASEAN加盟国政府と日本政府との協定によって設立された国際機関。

(西村公伽)

(ASEAN、日本)

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