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注意義務法施行から7年、57社が「計画書」を未公表(フランス)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月22日 1時20分

NGOのシェルパ(SHERPA)とCCFD-テール・ソリデール(CCFD-Terre Solidaire)は10月10日、人権デューディリジェンスに関する注意義務法の対象企業による順守状況をウェブサイト上で更新した。「親会社と発注企業の注意義務に関する法律(注意義務法)」(フランス語)は2017年に施行され、一定規模以上の企業に対し、注意義務に関する計画書の作成、開示や計画の実施を義務付けている(2021年6月10日付地域・分析レポート参照)。

両NGOは、注意義務法の施行から7年経過したにもかかわらず、バッファロー・グリル(レストラン)、ユーロ・ディズニー、ビガール(食肉加工)、ピカール(冷凍食品)など57社が依然として同計画書を公表していないとした。

注意義務法の対象となる企業は、連続する2年の会計年度で(1)フランス国内に本社があり、直接・間接の子会社を含めて合計5,000人以上の従業員を雇用している企業、または(2)フランス国内外に本社があってフランス国内で活動し、全世界で直接・間接の子会社を含めて合計1万人以上の従業員を雇用している企業。

フランスや世界のグループ企業の構造とその従業員数に関する情報を提供する公的データベースが存在しないため、両NGOは対象企業の網羅的なリストを作成することはできないとしつつ、前回2022年のリスト更新時から新たにアクション・フランス(ディスカウントストア)、MBDA(ミサイル製造)、ピエールファーブル(薬品・化粧品)、SNCF(鉄道)を加えた279社が少なくとも注意義務法の対象となるだろうとしている。

シェルパのルシー・シャトラン氏は「単に計画を公表するだけでは十分ではない。実施措置が不適切な場合、企業は催告を受ける、もしくは法廷で答弁を求められる可能性がある」と警告する。

同法の施行以降、石油大手トタルエナジーズやフランス電力(2024年6月26日記事参照)などに対する13件の訴訟が起こされ、30件の催告が送付された。海洋保護団体ブルームは2023年11月、大手スーパーマーケットのカルフールの熱帯マグロの商品化に対し、「生物多様性に有害な産業的漁業はバリューチェーンにおける人権の侵害にも関与する」として催告を送付している。

EUの「企業持続可能性デューディリジェンス指令(CSDDD)」(2024年4月26日記事参照)の施行により対象企業の拡大が見込まれるが、CCFD-テール・ソリデールのクララ・アリベール氏は「多国籍企業に関する情報へのアクセスを保証する手段がなければ、多国籍企業の特定もこの指令の順守の監視も同様に困難な作業になる可能性がある」と指摘している。

(奥山直子)

(フランス)

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