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抗議活動が続く中、立法院改革法案の一部が可決(台湾)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月30日 11時0分

台湾で5月28日、野党の国民党と民衆党が提出した立法院改革法案の一部が立法院(国会)における3度目の審議(第三読会、以下三読、注1)を通過し、可決した。野党が提出した、立法院職権行使法、刑法、立法院組織法、立法委員行為法、立法委員互選院長副院長弁法の5つの法案の修正案のうち、28日に三読を通過したのは、立法院職権行使法および刑法の修正案だ。

各修正法案のポイントは次のとおりで、いずれも立法院の権力を不当に拡大するとして、与党・民進党は反対していたが、立法院での議席が過半数に満たない民進党の提案はいずれも退けられた(注2)。同法案に対する懸念の高まりから、審議が進む度に立法院の周囲を市民や団体が取り囲む事態となり、5月28日には7万人を超える人が立法院の周囲で抗議活動を行った。抗議行動は「青鳥行動」(注3)と名付けられ、各地の主要な都市にも波及している。

(1)立法院職権行使法改正のポイント

1. 総統情勢報告:立法院における総統による情勢報告を常態化し、総統はその場で質疑応答を行わなければならない。
2. 質疑応答:反対質問は禁止、被質問人は、回答を拒絶してはならない。違反した場合は2万台湾元以上20万台湾元以下(約9万8,000円以上98万円以下、1台湾元=約4.9円)の罰金を科す。
3. 人事同意権:記名投票とする。違反者は2万台湾元以上20万台湾元以下の罰金を科す。
4. 調査権:立法委員は関連機関や法人、関係人員に対して調査権を発動し、関連書類の提出を求めることができる。拒否や隠蔽(いんぺい)を行った場合は1万台湾元以上10万台湾元以下の罰金を科す。
5. 公聴会:正当な理由なく欠席、証言や資料の提出を拒否する場合、1万台湾元以上10万台湾元以下の罰金を科す。

(2)刑法改正案のポイント

国会軽視罪の追加:公務員が立法院の公聴会で質問を受けた際、虚偽の陳述を行った者は1年以下の刑もしくは20万台湾元以下の罰金を科す。

同法案の三読の可決を受けて、卓栄泰行政院長(首相)は5月28日に声明を発表し、今回の法改正案の審議の過程について、人民からも多くの疑問が提出されており、条文の内容も権力分立や人民の権益を侵害する可能性があることから、行政院では修正案が憲法違反である可能性も踏まえ立法院での覆議(再審議)を検討する、とした。

(注1)台湾の立法院において法案が成立するには3回の可決が必要で、各会の審議を第一読会、二読会、三読会という。

(注2)2024年1月に行われた選挙の結果、立法院の議席113の内訳は、民進党51、国民党52、民衆党8、無所属・他2となった。

(注3)立法院周辺の地名である青島東路の暗号としてネット上で「青鳥」が使われたことに始まり、青い鳥が幸福の象徴であることから「青鳥行動」の名称が急速に広がったとされる。青鳥行動の様子は中央社のウェブサイトから閲覧できる。

(江田真由美)

(台湾)

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