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「ローノーマル」経済へ、サービスや南・南貿易も増加、UNCTAD発表(世界)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月11日 0時30分

国連貿易開発会議(UNCTAD)は10月29日、「貿易開発報告書2024」を発表し、2024および2025年の世界経済の成長率をそれぞれ2.7%と予測した。この予測は、中国と米国経済の減速、EU経済の低成長を反映しており、世界経済が新たな「ローノーマル(低い常態)」に突入したことを強調した。途上国・地域では、2003~2013年の平均成長率が6.6%だった一方、2014~2024年の平均は4.1%にとどまる。特に、中国を除くグローバル・サウスの過去10年間の経済成長率は2.8%となった。UNCTADは、途上国・地域が直面する経済、社会、開発、環境などに関するあらゆる課題に対処するにはこの成長率では不十分と警鐘を鳴らす。

2023年に停滞した世界の物品・サービス貿易について、2024年には実質ベースで約2%回復する半面、2024年末にかけて回復の勢いは減速すると見込む。主要国・地域の貿易制限措置と内向きな産業戦略が、中間財と最終財の貿易に影響を及ぼすと予測する。一方、南・南貿易(途上国・間の貿易)は2007 年(2兆3,000億ドル)から 2023 年(5兆6,000億ドル)にかけて2倍以上に増加しており、途上国・地域が従来の貿易相手国・地域への依存を減らし、地域経済統合を強化していることを示した。

物品貿易が伸び悩む一方、サービス貿易は急成長している。2023年は、物品貿易が前年比で減少したものの、サービス貿易は実質ベースで5%拡大し、世界の貿易総額の25%近くに達している。他方、途上国・地域におけるサービス輸出は世界の30%未満にとどまっている。特に、クリエーティブ・サービスでは輸出の8割が先進国に集中し、先進国企業が優位にある。グローバル・サウスは、コモディティから得られる短期的利益のみならず、サービスおよび金融部門の役割の増大とのバランスをとる産業政策を設計する必要がある。

グローバル・サウスの経済は低成長、グローバル・ショックへの脆弱(ぜいじゃく)性、貿易の分断化のリスクに直面しているが、再生可能エネルギー、重要鉱物、南・南貿易、新たな産業政策により、持続的成長の機会が得られる。UNCTADのレベッカ・グリンスパン事務総長は「途上国・地域への真の支援を提供するため、世界的な開発戦略の再考、国際金融システムの改革、多国間主義へのコミットメントの回復が必要」と訴えた。

(馬場安里紗)

(世界)

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