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米下院選の議席数が確定、共和党トライフェクタも民主党とは僅差(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月6日 10時0分

米国で11月5日に投開票が行われた連邦議会下院選挙の結果、共和党が220議席、民主党が215議席となることが確実となった。米国主要メディアが12月4日に報じた。カリフォルニア州第13選挙区での勝者確定に時間がかかっていた(注1)。大統領選挙では共和党のドナルド・トランプ前大統領が勝利し(2024年11月7日記事参照)、上院でも共和党が多数党となるため、2025年1月からは、大統領職と上下両院の多数党を同一の政党が担う共和党の「トライフェクタ」となる。しかし、上下両院ともに、共和党と民主党との議席数は僅差となっている。

下院における両党の議席数の差は、2025年1月にさらに縮まるとみられている。下院議員(共和党、フロリダ州)だったマット・ゲーツ氏は、トランプ氏によって司法長官に指名された後に議員辞職した(注2)。さらに、大統領補佐官(安全保障担当)に指名されたマイク・ウォルツ下院議員(共和党、フロリダ州)、国連大使に指名されたエリス・ステファニク下院議員(共和党、ニューヨーク州)が(2024年11月13日記事参照)、1月に議員辞職するとみられることから、共和党と民主党の議席数の差は217対215に縮小する見込みだ(注3)。その場合、党派に沿った票決では、共和党議員が1人でも民主党の方針に沿って投票するだけで、法案は可決できなくなる。こうした状況について、マイク・ジョンソン下院議長(共和党、ルイジアナ州)は、保守強硬派のフリーダムコーカスといった共和党内の少数派の意見をまとめることは可能としつつも、「計算してみてください。われわれには余裕がない」と述べ、議会運営の難しさを認めている(議会専門紙「ザ・ヒル」12月5日)。

一方の上院も、共和党が53議席、民主党が47議席となっており、フィリバスター(議事妨害)を抑え込むためのクローチャー(討論終結)決議に必要な60議席に達していない。

トランプ氏は、就任直後は不法移民対策や新たな関税の賦課、電気自動車(EV)の新車販売義務の撤回など、大統領権限で可能な政策の実行を優先するとみられるが(注4)、同氏が掲げる政策には、中国との恒久的正常貿易関係(PNTR)の撤回や減税措置の延長など、議会承認が必要なものも少なくない(注5)。2025年1月3日の新議会、1月20日の新政権の発足に向け、トランプ氏が示す政策の優先順位や、有力議員の動向が注目される。

(注1)共和党が下院においても多数党となることは、投開票日から1週間程度で判明していた(2024年11月14日記事参照)。

(注2)ゲーツ氏は指名を辞退し、現在は、司法長官に元フロリダ州司法長官のパム・ボンディ氏が指名されている(2024年11月26日記事参照)。

(注3)最初の補欠選挙は2025年4月に行われる見込みで、いずれも共和党が優位な選挙区とされている(ザ・ヒル12月5日)。

(注4)例えば、関税を賦課する権限の一部は、過去の法律によって大統領に権限が委譲されている(2024年10月15日記事参照)。また、大統領令で定められた事項は大統領令で撤回可能とされている。ジョー・バイデン大統領は、新車販売の50%以上を2030年までにEVを含むクリーンビークルとすることを大統領令で定めていた。

(注5)共和党の政策綱領を基にしたトランプ氏の政策方針は、2024年8月9日付地域・分析レポート2024年9月6日付地域・分析レポートを、財政政策の見通しは2024年11月25日付地域・分析レポートを参照。

(赤平大寿)

(米国)

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