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4月の米個人消費支出、実質ベースで前月比0.1%減、インフレ圧力低下の兆しも(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月4日 1時10分

添付資料PDFファイル(330 KB)

米国商務省は5月31日、4月の個人消費支出(PCE)を公表した。PCEの結果は、小売り統計(2024年5月17日記事参照)で減速の兆しを見せていた消費の動向や、連邦準備制度理事会(FRB)当局者などが懸念していたインフレ動向などの観点から注目されていた。今回の発表では、実質PCEが減少に転じるなど、インフレ圧力低下の兆しもみられた。

所得関連では、個人所得が名目ベースで前月比0.3%増(前月0.5%増)と市場予測に一致した。内訳をみると、雇用者報酬が0.2%増(寄与度0.2ポイント)、所得移転が0.3%増(0.1ポイント)、利息・配当が0.5%増(0.1ポイント)だった(添付資料図1参照)。個人所得から税を除いた可処分所得は名目ベースで前月比0.2%増、実質ベースで増減なし、1人当たりでは名目ベースで0.2%増、実質ベースで0.1%減だった。名目可処分所得の使途をみると、消費支出が0.2%増(0.19ポイント)、利払い費が0.7%増(0.02ポイント)、貯蓄が0.3%減(マイナス0.01ポイント)となっている。貯蓄率は3.6%と引き続き低い水準。インフレ率の低下が足踏みする一方で、雇用者報酬の伸びは低下してきており、こうした状況が貯蓄を下押ししているもようだ(添付資料表1参照)。

名目個人消費支出は前月比0.2%増と、市場予測(0.3%増)を下回った。内訳をみると、財部門(寄与度マイナス0.1ポイント)はまちまちの状況で、自動車(0.03ポイント)などが押し上げに寄与する一方で、レクリエーショングッズを含むその他耐久財(マイナス0.07ポイント)などは押し下げに寄与している。サービス部門(0.3ポイント)では、ヘルスケア(0.08ポイント)、住居(0.08ポイント)、金融・保険(0.07ポイント)など多くの部門が押し上げに寄与した(添付資料図2、表2参照)。

ただし、名目ベースでの押し上げは物価の寄与も大きく、実質ベースでの個人消費支出は前月比0.1%減と減少に転じている。特に、サービス部門(寄与度0.1ポイント)では、運輸(マイナス0.02ポイント)以外にも、レクリエーション(マイナス0.01ポイント)、外食サービス(マイナス0.01ポイント)など複数の部門が押し下げに寄与した。イースター休暇が3月に前倒しになったことに伴う反動減の影響もあるとみられるが、財部門を中心にみられてきた裁量的消費の減少が、一部のサービス部門に波及し始めている可能性もある。

物価関連では、PCEデフレーターは前年同月比2.7%増、前月比0.3%増と前月から変化はなかった(添付資料表3参照)。食料・エネルギーを除くコア指数は前年同月比2.8%増(前月2.8%増)、前月比0.2%増(0.3%増)と、前月比ではわずかに低下した(添付資料図3参照)。これらの結果は、市場予測とおおむね一致した。

PCEデフレーターの内訳を見ると、ガソリン価格(前年同月比2.6%増、寄与度0.1ポイント)やサービス価格(3.9%増、2.7ポイント)が高止まりした。サービス価格に関しては引き続き、住居費(5.4%増、0.9ポイント)、その他サービス(3.8%増、1.4ポイント)が高止まりしているほか、エネルギー価格の上昇を受けた輸送サービス(3.0%増、0.1ポイント)なども押し上げに寄与した(添付資料表3参照)。

今回の発表では、物価関連の指標に関して前月からほとんど変化がみられなかった。一方で、ブルームバーグエコノミクスのスチュアート・ポール氏らが「FRBが基調的なインフレ圧力が弱まっている兆候を探す中、4月のPCEの結果は良好だった」(ブルームバーグ5月31日)と述べたように、雇用者報酬の伸びが低下しつつあることや、実質個人消費支出がマイナスに転じたことなど、今後のインフレ圧力の低下につながり得る内容もみられた。FRBにとって、インフレが着実に低下しているとの確信を得るには不十分なものの、現在の政策スタンスを維持することに安心感を与えそうだ。

(加藤翔一)

(米国)

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