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欧州委の研究機関、重要原材料チタンの確保に向けた政策提言を発表(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月31日 0時45分

欧州委員会の共同研究センター(JRC)は1月23日、重要原材料の1つであるチタンの持続可能性を確保することはEUの戦略的自律の強化、域内チタン産業の雇用拡大につながるとした政策提案を含む報告書(プレスリリース)を発表した。

チタンは、航空宇宙および防衛産業に不可欠であり、発電機やIT機器(スマートフォン、タブレット、ノート型パソコン)、人工衛星など、グリーンとデジタルへの移行で重要となる技術に使用され、EUの重要原材料法(2023年11月17日記事参照)の対象にもなっている。

報告書は、ロシアのウクライナ侵攻などの地政学的変化や、航空宇宙と防衛産業での需要拡大予測を背景に、EUはチタンの輸入依存を早急に減らす必要があるが、チタンの生産国(中国、日本、ロシア、カザフスタンなど)は限られており、多角化が難しいと分析。中国はスポンジチタンの世界生産量の約3分の2を占める(2023年)ものの、航空宇宙用に必要な高品質のスポンジチタンは、日本とロシア、カザフスタンで生産されている。また、中国はチタンの溶融と鍛造においても強力な地位を維持しているが、EUは主要国に後れを取り、輸入に頼っている。チタンはエネルギーを大量に消費するため、二次原料としての活用が重要な役割を果たすとした。

持続可能なチタン生産のエコシステムを確保するための政策提言は次のとおり。

チタンの生産をリサイクル能力と合わせ域内で確立し、輸入依存度を下げる。また、米国との貿易協議を通じて、高品質のチタンスクラップを確保する。
使用済み航空機からのリサイクルの実現に向け、エコデザインの推進や材料認証プロセスの合理化を通じ、採算性や規制、技術的制約に関する課題に対応する。
カザフスタンや日本、サウジアラビアなどの生産国とのパートナーシップを通じて調達先を多角化する。
ウクライナのチタン産業の復興を支援し、EUのバリューチェーンに統合する。

(大中登紀子)

(EU)

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