ECFAの134品目関税引き下げ措置停止に対し、影響はコントロールできる範囲内と表明(台湾、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月5日 10時5分
台湾の経済部は5月31日、中国財政部が海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)に基づいて台湾に対して行っている関税引き下げ措置(物品貿易)を石油化学品や紡績、鉄鋼、金属、輸送機器部品など134品目について、6月15日から停止することを明らかにしたことに対し、「影響はコントロールできる範囲内」と発表した。ECFAの関税引き下げ措置停止は、2024年1月1日から行われている石油化学品12品目に続き(2023年12月25日記事参照)、2回目となる。
経済部は「関税引き下げ措置停止後、対象品目の税率は1~12%となる。2023年の当該製品の対中輸輸出金額は98億ドル、輸出額全体に占める割合は約2%」と指摘した。加えて「台湾の輸出総額に占めるECFA関連品目の対中輸出額の割合は徐々に減少しており、2023年は3.6%にまで低下した」と述べた。
経済部はまた「2023年4月の貿易調査開始以降、関連する業種の企業とコミュニケーションを取りながら、産業の高度化や市場の分散(多様化)などの対応を既に行っている」と強調。関連企業に対し、差別化・高付加価値化した製品の開発、市場の分散(多様化)、低炭素化、製造工程のデジタル化といった3大戦略の実施による政策的支援を行う。
台湾の大陸委員会は5月31日、「中国が政治的理由で台湾への経済的威圧を強めることは、両岸の互恵的な発展をゆがめている」と指摘したほか、「中国と台湾はともにWTOの加盟国・地域であり、WTOやECFAには紛争解決規定があるので、対抗措置ではなく、対話で実務的に解決すべきだ」と中国に抗議した。
淡江大学両岸関係中心の張五岳主任は「今回の中国側の措置は予想の範囲内」としつつも、「中国の目的は3つ、(1)中国国内の世論の反映、(2)(台湾の)民進党当局への警告、(3)台湾のCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)加入へのハードル引き上げだ」と指摘した。特に(3)については、対外的に「台湾が貿易障壁を設けている」というシグナルを送り、台湾のCPTPP加入への難易度をさらに高めることを狙っている」とコメントした(「中国時報」5月31日)。
(江田真由美)
(台湾、中国)
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