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欧州議会選を前に、グリーン・ディール政策の産業関連法がほぼ成立(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月28日 10時40分

EU理事会(閣僚理事会)は5月21日、天然ガスから水素への移行に向け、EU域内ガス市場の共通ルールを定める指令案(2023年12月7日記事参照)と域内ガス市場規則案(2023年12月19日記事参照)を採択した(プレスリリース)。いずれもEU官報への掲載を経て施行される見込みだ。両法案は、2050年までの炭素中立を目指す「欧州グリーン・ディール」の一環として提案された2030年温室効果ガス(GHG)削減目標(1990年比で少なくとも55%削減)の達成に向けた政策パッケージ「Fit for 55」第2弾として発表されたもの。

同じく第2弾で発表されたエネルギー部門メタンガス排出削減規則案(2023年11月21日記事参照)も、5月27日にEU理事会が採択してEU官報掲載待ち、建物エネルギー性能指令改正案(2023年12月15日記事参照)は施行済みだ。また「Fit for 55」第1弾(2023年5月12日記事参照)は、エネルギー課税指令改正案(2023年8月2日記事参照)を除き、全ての法案は既に施行している。

グリーン・ディールの産業関連法ほぼ成立も、反発広がる中で今後の実施に注目

欧州議会は、6月の欧州議会選挙前最後の4月の本会議でグリーン・ディール関連の重要法案を相次いで採択。いずれもEU理事会の採択を経て、施行される見込みだ。採択された主な法案は次のとおり。

〇グリーン・ディール産業計画(2023年12月15付地域・分析レポート参照

ネットゼロ産業法案(2024年2月14日記事参照
電力市場改革法案(2023年12月18日記事参照

〇循環型経済関連法〔調査レポート「EUの循環型経済政策」(2022年10月)参照〕

エコデザイン規則案(2023年12月11日記事参照
建物資材規則改正案(2023年12月28日記事参照
包装・包装廃棄物規則案(2024年3月8日記事参照
炭素除去認証枠組み規則案(2024年3月1日記事参照
「修理する権利」指令案(2024年2月8日記事参照

このほか、重要原材料法2023年11月17日記事参照)とグリーンウォッシング(実質を伴わない環境訴求)禁止指令2024年2月21日記事参照)は施行済み。環境訴求に関する共通基準を設定する指令案(2023年3月30日記事参照)は今期立法サイクルでは未採択となった。

産業関連法案がほぼ全て成立する一方で、グリーン・ディールに対する反発を受け、欧州委は2月に農薬使用削減法案を撤回(2024年2月13日記事参照)。規制内容が大幅に弱められた末に政治合意に至った自然再生法案は、欧州議会が2月に採択したものの、EU理事会での採択が見込めない状態にあり、農業・環境関連法案は既に停滞が指摘されている。6月の欧州議会選挙では、グリーン・ディールに批判的な極右政党が躍進するとの選挙予測(2024年5月2日記事参照)も出ていることから、今後の実施や関連法の委任法令の制定などに引き続き注視が必要だ。

(吉沼啓介)

(EU)

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