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ポーランド政府、水素経済の発展に関する法案を準備(ポーランド)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月12日 0時55分

ポーランドのパウリーナ・ヘニグ=クロスカ気候・環境相は、7月4日にワルシャワで記者会見を行い、「政府は水素経済の発展を加速させるための水素法案を準備する」と発表した。

ポーランドは欧州で3位の水素製造国だが、既存のエネルギー法では、水素は「可燃性ガスの一種」と見なされており、規制されていなかった。水素に関する規制の欠如は、水素市場への投資リスクを上げ、水素関連投資を妨げていた。

ポーランドのエネルギー研究所が実施した分析によると、この法律を制定することで、2040年までに水素経済は、EUにおける水素需要が少ない場合でも3億4,300万ユーロ以上、需要が多い場合は8億7,000万ユーロ以上の付加価値を生むと予測されている。水素はガスに代わるエネルギーキャリアとなり、またエネルギーの貯蔵にも利用できるため、ポーランドにおける気候中立の達成に貢献し、同国のエネルギー産業の競争力を高めることが期待されている。 

今回発表された水素法案の概要は次のとおり。

(1)水素の分類別定義:エネルギー法にポーランドにおける水素市場の開発と運営に必要な用語体系や定義を次のとおり導入する。

低炭素水素:製造プロセスで二酸化炭素(CO2)排出の適切な削減を達成できる化石燃料由来の水素
再生可能エネルギー由来の水素:再生可能エネルギー源から製造する水素
非バイオ由来の再生可能水素 (RFNBO): EUガイドラインに沿って電気分解により製造する水素

(2)水素システムの構築:現エネルギー法では、水素はガスネットワークを介して供給される場合にのみ規制されていたが、法律改正により、水素専用システムの運用ルールを設計する。また、水素を取り扱う業者(水素送電システム事業者、水素配給システム事業者、水素貯蔵システム事業者)の任命手続きや責任管理を導入する。

(3)ガスと水素のシステムにおける協力についての規制の導入

(4)法令の簡素化:建設法、環境保護法、送電網への戦略的投資の準備と実施に関する既存の法令を簡素化し、水素経済のダイナミックな発展に合わせる。

なお、同記者会見では、気候・環境省による水素経済の支援例が次のとおり取り上げられていた。

ポーランド初の大規模水素貯蔵施設を北部コサコウォに建設する可能性。
国家開発銀行(BGK)からの水素電解装置の製造に対する補助金プログラム(予算27億ズロチ、注)を2025年から開始。
水素ステーション建設についての契約と新たな案件での入札の予定。
水素エネルギーを使った革新的交通システムの公募(予算11億ズロチ)。
EU域内でのグリーン水素生産のための財政支援策「欧州水素銀行」(2024年5月8日記事参照)からの追加資金の獲得を目指す。

(注)約1,107億円、1ズロチ=約41円(7月10日ポーランド国立銀行為替レート)。

(ニーナ・ルッベ、林真人)

(ポーランド)

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