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ジェトロが創薬バイオスタートアップによるピッチイベント(英国、ドイツ、フランス、ポーランド)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月3日 0時50分

ジェトロは、欧州の創薬バイオスタートアップ7社(英国3社、フランス1社、ドイツ2社、ポーランド1社)によるオンラインピッチイベントを10月24日に主催した。各企業はいずれも外部の研究開発機関などから推薦を受けた企業で、医薬品の開発ステージとして、非臨床試験から第1相試験(注1)に位置している。本ピッチイベントでは、日系ベンチャーキャピタル(VC)、日系製薬会社のコーポレートVC(CVC、注2)・インライセンス(注3)担当者の5人を審査員として招き、4つの評価項目(技術の革新性、市場拡大性、事業モデル、チームの専門性)を5段階で評価した。

最も高い評価を得た企業として、カデンス・バイオ(Kadence Bio、英国)が選出された。早漏症改善のための低分子医薬品を開発しているが、評価されたポイントとしては、オンデマンド療法(注4)が可能な点、薬剤の安全性の高さ、市場の大きさが挙げられた。カデンス・バイオが開発する早漏症治療薬により、男性の不妊治療への貢献が期待される。11月26日に同社ウェブサイトに掲載されたジョン・ボゴシアン最高経営責任者(CEO)のインタビューによれば、第1相試験は10月に終了し、2025年に第2相実証試験を開始する準備を進めているという。

男性不妊治療は次なるユニコーン市場として期待されている領域として、6月のロンドン・テック・ウィーク期間のサイドイベントでも言及されていた(2024年7月2日記事参照)。

なお、オンラインピッチイベントの参加企業の概要は次のとおり(発表順)。

AAテックメディカル(AATec Medical, ドイツ):慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺感染症の治療のための吸入治療薬を開発。
カデンス・バイオ(Kadence Bio, 英国):早漏症改善のための低分子医薬品を開発。
リフト・バイオサイエンシーズ(LIfT BioSciences, 英国):免疫調節アルファ好中球を活用したがん免疫療法を開発。
プロカリウム(Prokarium, 英国):サルモネラ菌を活用した膀胱がん治療薬を開発。
サーモサム(Thermosome, ドイツ):熱感受性リポソーム(TSL)を使用した腫瘍標的化技術を開発。
ウラニア・セラピューティクス(Urania Therapeutics, フランス):ナンセンス変異(注5)に関連する疾患に特化した治療法を開発。
WPDファーマシューティカルズ(WPD Pharmaceuticals, ポーランド):脳神経膠(こう)腫をターゲットとする治療薬を開発。

(注1)非臨床試験とは、新規物質の有効性と安全性を、動物や試験のために人工的に育てた細胞を用いて確認する段階。非臨床試験を通過した新規物質が、人にとって有効で安全なものかどうかを調べるのが臨床試験(第1相~第3相)。

(注2)事業会社が社外のスタートアップに対して投資を行う活動、または事業会社によって設立されたスタートアップに対して投資を行う会社。

(注3)インライセンスとは、他社が保有している特許権やノウハウなどを、対価を支払って自社に導入すること。

(注4)症状が出そう、あるいは出たときに薬を使い、改善した場合に薬の使用を中止する方法。

(注5)遺伝子のDNA配列のうち、1文字(1塩基対)が変化することにより、タンパク質の合成がその部分でストップするものを指す。

(榊原達也)

(英国、ドイツ、フランス、ポーランド)

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