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米デンバーで水産品試食商談会を開催、米国内陸部市場と物流拠点の可能性(愛媛、米国、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月15日 0時55分

ジェトロは91617日、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水関連の輸入規制強化を踏まえた地域依存を分散するため、米国コロラド州デンバーで、愛媛、青森、宮城、福井県産の水産品・水産加工品に関する販売促進事業を行った。

916日は、同市内の日本食レストランで試食商談会を実施した。日本の水産品事業者19社がタイ、ブリ、ホタテ、サバ、その他の水産加工品などを出品し、20人を超える現地のシェフ、バイヤーなどが試食・商談を行った。

写真 試食ブース(左写真)と商談ブース(右写真)の様子。現地の日本食レストラン、イザカヤ・デン(Izakaya Den)の会場協力を得た(ジェトロ撮影)

試食ブース(左写真)と商談ブース(右写真)の様子。現地の日本食レストラン、イザカヤ・デン(Izakaya Den)の会場協力を得た(ジェトロ撮影)

日本からも数社が現地に渡航し、活発な商談が行われた。愛媛県の地域経済活性化のため、水産加工・土木工事・建材販売・リサイクル建材製造事業を行う予州興業(愛媛)の三浦崇氏は「今回初めて米国に渡航したが、日本とは食文化が異なるので、日本食の頭を切り替えて、味付けなどアレンジを工夫する必要があった」と話した。また、ミカンの皮の成分をエサに混ぜて育て、養殖魚特有の臭みが軽減された、みかんブリの販売を手掛ける宇和島プロジェクト(愛媛)の奥村悠氏は「刺し身や寿司(すし)のほか、西洋料理で使える方法として、みかんブリを加熱することでみかんの香りをさらに際立たせた、みかんブリの照り焼きを提案したところ好評だった」と述べた。現地のシェフからも、冷凍のフィレやホタテ、モズクをはじめとする商品の触感や味を評価する声が特に多く、またビーガン向けや骨のない商品を望む声も聞かれた。

9月17日には、現地に渡航した出品者がデンバー市内の日系スーパーマーケットや、同市の北西に位置するボルダー市内のレストランを視察した。高級レストランのフラッグスタッフハウスのロイスター・クリス氏は「商品を仕入れるときは、第1に質を重視している。コースを提供する際には、魚の産地などの説明をしており、商品の裏にあるストーリーを大事にしている」と話した。

写真 今回視察したボルダー市内のレストラン、ジャパンゴ(Japango、左写真)とフラッグスタッフハウス(Flagstaff House、右写真)の様子(ジェトロ撮影)

今回視察したボルダー市内のレストラン、ジャパンゴ(Japango、左写真)とフラッグスタッフハウス(Flagstaff House、右写真)の様子(ジェトロ撮影)

ニューヨークやロサンゼルスなどの米国沿岸部は日本産の鮮魚が浸透しており、市場は既に飽和しつつある一方、富裕層が集まる高級リゾート地であるコロラド州を含む米国内陸部では、日本の鮮魚に対する認知度はまだ低く、出回っている鮮魚の種類も少ないブルーオーシャンだ。今回、試食商談会の委託運営を行ったウオガシ・グローバル・イノベーションの百瀬慶広最高経営責任者(CEO)は「米国沿岸部では日系、デンバーなどの内陸部では非日系が主な最終消費者であるものの、米系ホワイトテーブル(注)のレストランシェフにしっかり商品を説明し、気に入ってもらえれば使い続けてもらえる可能性が高い。また、ユナイテッド航空のハブ空港があるデンバーは、米国沿岸部を含む他都市への物流拠点であることから、冷凍商品をデンバーにストックする動きがある」とコメントした。本試食商談会は米国内陸部デンバーの市場とその物流拠点としてのポテンシャルを確認する機会となった。

(注)白いテーブルクロスを使用するような、格調高い雰囲気のレストランのこと。

(数実奈々)

(愛媛、米国、日本)

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