ドイツ南西部で水素モビリティ活用プロジェクトの進捗報告会開催(ドイツ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月1日 1時15分
ドイツ南西部のマンハイムで10月24日、これまで約4年間実施されてきた2つの水素活用プロジェクトの進捗報告会が開催され、約400人が参加した。2020年9月に開始した「H2リバーズ」は、連邦デジタル・交通省による水素・燃料電池イノベーション国家プログラムの第2ステージ(NIP2)の一環の「HyLand」プログラムから2,000万ユーロの補助を受け、地域内で水素バリューチェーンの構築と交通分野での水素活用を目的としている。もう1つの「H2ライン・ネッカー」は、バーデン・ビュルテンベルク(BW)州環境・気候・エネルギー省が「BW州自動車産業戦略会議」(2020年9月29日記事参照)の枠組みで1,670万ユーロを助成し、水素をエネルギー源として活用することで環境に優しい公共交通機関の実現を目指すもの。
H2リバーズ・プロジェクトにより、出力合計2メガワット(MW)の2つの水電解水素製造プラント、地域への水素供給ハブである水素充填(じゅうてん)センター、3カ所の公共水素スタンドが設置され、後者は燃料電池式ごみ収集車に水素供給を開始している。H2ライン・ネッカーでは、燃料電池を積んだ電気バス(燃料電池レンジ・エクステンダー・バス)と従来のディーゼルエンジンバスとの入れ替えや水素スタンドの設置を進めている。
マンハイム市が導入した燃料電池式ごみ収集車(ジェトロ撮影)
報告会において、クリスティアン・シュペヒト・マンハイム市長は「連邦政府が敷設を進める水素パイプラインが南ドイツに到達するには時間を要する。それまで待つのではなくライン・ネッカー地域(ライン川、ネッカー川に挟まれた地域)の複数の自治体、大学や研究機関、企業が一体となって水素のバリューチェーンのさらなる構築・強化に向けてプロジェクトを継続していくことが重要。同地域にはライン川の河川港があり南ドイツへの水素供給ハブとなる条件を備えている」などと語った。研究機関からは、前述の水素バスやごみ収集車などから得たビッグデータ分析を2024年6月から開始し、通年でデータ収集した後、2025年夏ごろに水素の交通部門への活用に関する分析結果を公表予定、との発言があった。
ライン・ネッカー地域では、交通部門への水素活用の経験と知識を今後は地域や国境を越えたプロジェクトに展開していく予定で、具体的にはスイス、フランス、ドイツのライン川流域一体で水素技術の活用やインフラ整備を進めるEUプロジェクト「H2バレー・ラインアップ」(H2 Valley Rhyne-Up)が今後の目標として紹介された。
(鷲澤純)
(ドイツ)
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