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新興市場や米国が期待以上の勢い、インフレ収束も加速、OECD予測(世界)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月9日 2時15分

添付資料PDFファイル(131 KB)

OECDは5月2日、最新の「世界経済見通し」を発表し、2024年の世界経済の成長率(実質GDP伸び率)を3.1%、2025年は3.2%と予測した。前回(2024年2月)予測から、それぞれ0.2ポイントの上方修正を行った(添付資料表参照)。2023年の3.1%から3年連続で3%を上回る見通しで、OECDは「緩やかなペースで成長している」とした。

上方修正の理由として、米国や主要新興国の一部で経済活動の期待以上の勢いがある。米国(2024年の実質GDP伸び率:2.6%)は、個人消費と財政刺激策が経済を下支えするとした。この予測は、4月の米国商務省の発表(1.6%)を大きく上回る(2024年4月26日記事参照)。新興国では、投資の力強さとともに企業の景況感も改善しているインド(6.6%)のほか、個人消費が成長を牽引し、金融緩和が予想されるインドネシア(5.1%)、公共のインフラ投資と製造業の米国市場から近いニアショアリングが活発なメキシコ(2.2%)、雇用拡大と最低賃金の上昇が期待されるブラジル(1.9%)などで、堅調な成長が予測される。

ユーロ圏(0.7%)と英国(0.4%)は低調だが、今後は2022年のエネルギー価格急騰からの巻き戻しや家計所得の回復などにより、2025年には回復基調が予想される。中国(4.9%)は、不動産部門の低迷の影響はあるものの、財政刺激策やインフラ投資、外需による成長の伸びが期待される。中国のインフレ率は低水準が見込まれ、2024年に0.3%、2025年に1.3%の見通し。

OECD加盟国の平均インフレ率は2022年の9.5%から、2024年に5.0%、2025年に3.4%と大幅に引き下がる。OECDのマティアス・コーマン事務総長は「インフレ率は(各主要国の)中央銀行の目標近くまで低下し、また、見通しに対するリスクはさらにバランスが取れてきている」と指摘。世界全体の成長率は金融危機以前の水準を下回るが、中国やインド、インドネシアを含むアジア経済が引き続き世界の経済成長の半分以上を牽引すると記者会見で述べた。

景気の下振れリスクとしては、地政学的緊張を筆頭に挙げ、特に中東での紛争への懸念を示す。OECDは、2024年1~3月にイエメンの武装組織フーシ派が攻撃行為をする紅海のスエズ運河を通過するタンカーの数が51%減少(2023年10~12月比)し、代わりに、南アフリカ共和国の喜望峰を経由する船舶数が同比60%増加したと報告(注)。OECDは、中東とアジアとの間の貿易における海路・空路のハブ利用が阻害されるリスクを指摘している。

(注)中東の紛争が紅海周辺に与える経済的影響については、WTOが分析を行っている(2024年1月17日記事参照)。

(藪恭兵)

(世界)

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