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トランプ氏が米共和党大統領候補の指名受諾演説、国民に団結呼びかけ、現政権との対立軸強調(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月22日 11時10分

米国のドナルド・トランプ前大統領は7月18日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された共和党全国大会の最終日に、同党大統領候補の指名受諾演説を行った。トランプ氏は15日に大統領候補に正式に指名されていた(2024年7月16日記事参照)。

トランプ氏は演説の冒頭、自身の選挙集会で発生した銃撃事件(2024年7月16日記事参照)に触れ、「米国社会の対立や分裂は修復されなければならない」「私は米国の半分ではなく、米国全体の大統領になるために立候補している」「私はどのような障害が立ちはだかろうとも決して引き下がらず、米国と米国民のために闘うことを止めない」などと述べ、米国民に団結を呼びかけるとともに、自身への支持を訴えた。また、党大会で採択された政策綱領(2024年7月9日記事参照)の内容に沿って自身の政策方針を示した。主な発言内容は次のとおり。

経済・エネルギー:大統領就任初日から「ドリル・ベイビー・ドリル」(注)の方針を採用し、化石燃料の国内生産を増やすことでエネルギー価格を引き下げ、物価全体を下落させる。
財政:個人所得税や法人税などの税金を引き下げるとともに、政府債務を返済・削減する。
気候変動:バイデン現政権の「グリーン・ニュー・スキャム(新手のグリーン詐欺)」に対する予算拠出を止め、道路・橋・ダムなどのインフラに振り向ける。
自動車産業:現政権の電気自動車(EV)推進策を大統領就任初日に打ち切る。自動車の国内製造を復活させる。メキシコで中国企業が製造する自動車の輸入に対して、100~200%の追加関税を課す。
不法移民:大統領就任初日に南部国境を閉鎖する。壁の建設を完了させ、不法移民の入国を阻止する。
外交:ロシアのウクライナ侵攻やハマスのイスラエル攻撃など、現政権が生じさせた国際的な諸問題を終結させる。トランプ前政権下では北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉による米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)締結や、中国による米国製品の輸入増などを規定した米中経済・貿易協定などを実現した。米国で製品を売るには米国で製造する必要がある。

トランプ氏は90分以上に及んだ演説で、冒頭の十数分は銃撃事件に関連して米国民の団結を訴えたものの、その後はインフレや不法移民、ウクライナ、中東などの国際情勢に対する現政権の国内・外交政策を批判して対立軸を鮮明にした。特に不法移民や民主党指導部に対する発言では攻撃的な表現も目立った。メキシコからのEV輸入に対しては、追加関税率最大200%と、これまで主張していた追加関税率100%(2024年7月16日記事参照)から倍増させたことも特徴的だった。

なお、前日17日には、J.D.バンス上院議員(共和党、オハイオ州)が副大統領候補の指名受諾演説を行っている(2024年7月19日記事参照)。

(注)ドリルは石油採掘を意味する。もともとは化石燃料の国内生産増を促す2008年の共和党大会で使用されたスローガンだが、2023年5月以降にトランプ氏がエネルギー価格の引き下げに向けた対策の方針として使用している。

(葛西泰介)

(米国)

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