1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

四川航空、中国初のSAFを使った国際旅客便運航を実現(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月22日 0時10分

中国の四川航空(2024年7月5日記事参照)は、7月5日の成都から成田への旅客便の航空燃料に、持続可能な航空燃料(SAF)を混合した燃料を使用したと発表した。中国の航空会社として初めて、国際定期旅客便にSAF混合燃料を使用したフライトとなった。

SAFは植物などバイオマス由来の原料や、飲食店などから排出される廃食油など、再生可能な資源や廃棄物を原料として加工した航空燃料だ。これらの主な原料となる植物は、光合成を行う際に大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収するため、SAFを従来の化石燃料由来の航空燃料に混ぜて使うことで、CO2の排出量を最大で80%削減することができる。世界の航空会社で構成される国際航空運送協会(IATA)や、国連傘下で航空業界のルールを決定する国際民間航空機関(ICAO)は、2050年までに航空業界のカーボンニュートラルを達成することを目標に定め、SAFの積極的活用を達成手段の1つとしている。この流れを受け、世界各国の政府や航空会社は2030年までに航空燃料の10%をSAFに置き換えることを目標に掲げており、SAFの製造・使用の加速が見込まれる。

化石燃料由来の航空燃料にSAFを混合することによって、成都~成田路線では燃料1トンにつき0.31トンを、年間では840トンのCO2の排出が削減できるという。四川航空の担当者は「航空業界全体の省エネとCO2排出削減に向けて、炭素削減、汚染削減などのプロジェクトを効果的に推進していきたい」と期待を述べた(「錦観新聞」7月13日)。

SAF製造の優位性を持つ四川省

SAF製造の課題の1つに、原材料となる廃食油の供給量不足がある。日本では企業や自治体が連携して、飲食店や宿泊施設、一般家庭から出る廃食油を回収して、SAF製造の原材料として再利用する取り組みが広がりつつあるものの、世界的な需要増大により供給量が不足し、原材料の確保が不安定なままだ。

この原材料不足の状況で強みを持つのが中国・四川省だ。四川省は火鍋やマーボー豆腐などの油を多量に使用する四川料理の発祥地であり、廃食油を回収して再利用する業者が多数存在する。調査機関の智研諮詢によると、2021年の中国全体の廃食油再利用業者の11%が四川省に集中しており、省市別で1位だった。四川金尚環保科技、四川天舟通用航空科技といった四川省を母体とする企業がSAFを製造している。四川金尚環保科技の葉彬董事長はジェトロのヒアリングに対し、「四川人はよく火鍋を食べるため、四川省はSAFの原材料確保と生産に有利な地域だ。良質なSAFを低価格で生産し、航空業界のカーボンニュートラル達成に貢献していきたい」とSAF製造に対する意欲を述べた。

(寺田俊作)

(中国)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください