中銀、政策金利を据え置き、インフレ抑制と成長のバランスを考慮(ブラジル)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月8日 11時40分
ブラジル中央銀行の金融政策委員会(Copom)が7月31日に開催され、政策金利(Selic)を2回連続で10.5%に据え置くことを全会一致で決定した。前回会合と同様にCopomは、世界的な経済情勢とインフレ圧力の継続、国内の財政目標への疑念を理由に、慎重な姿勢を維持する必要があると判断した。
8月6日に公開された議事録で、Copomは「必要があれば政策金利を引き上げることに躊躇(ちゅうちょ)しない。今後の政策金利の調整はインフレ率が中央銀行の目標範囲(1.5%~4.5%)内に収束するかどうか次第」と強調している。過去1年間のブラジルにおけるインフレ率は、6月に4.23%と中央銀行の目標範囲内に収まったものの、5月の3.93%と比較して0.3ポイント上昇している。また、8月2日付の中銀週次レポート「フォーカス」(注)によると、代表的な物価指数の拡大消費者物価指数(IPCA)上昇率の見通しは、2024年が4.12%、2025年が3.98%となっており、いずれも4週間前の見通しから0.1ポイント微増している。
ブラジル全国工業連盟(CNI)のリカルド・アルバン会長は、7月31日付同連盟公式サイトでCopomの決定を批判し、企業が負担する金融コストを減らすために、政策金利の早期引き下げを求めた。
一方、ブラジルでは現地通貨レアルの対ドルレートが2024年に入ってから、下落を続けてきた。今回の政策金利据え置き後は、7月31日に1ドル=5.65レアル(約147円、1レアル=約26円)、8月1日には5.75レアルと新型コロナ禍時の水準に迫っていたが、その後はやや上昇に転じている。
(注)フォーカスは、中銀がブラジル国内100機関以上の金融機関を対象に行った予測をアンケートでまとめたもの。毎週金曜日の集計を基に平均値を算出し、翌週の月曜日に公表される。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル)
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