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韓国政府、使用済み電池産業育成へ、法・制度・インフラ整備の具体案発表(韓国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月16日 0時35分

韓国政府は7月10日、経済関係長官会議を開催し、「使用済み電池産業育成のための法・制度・インフラ構築方策」を発表した。国内の電気自動車(EV)累積登録台数が急増し、使用済み電池が多く排出されると予測されることや(注1)、EUのバッテリー規則(2023年8月21日記事参照)の制定など、世界の貿易規制が強化されていることなどを踏まえ、使用済み電池産業を育成し、使用済み電池の管理体制を強化することを目的に策定した。同方策は、2023年12月に発表された「二次電池全周期産業競争力強化方策」(2023年12月19日記事参照)の後続措置として位置付けられている。

具体的な内容は次のとおり。

(1)「使用済み電池産業育成とサプライチェーン安定化支援に関する法律」(仮称)の制定

使用済み電池の市場形成や安全管理などのための事項を法律で規定し、安全管理や制度・システムの具体的内容、「使用済み電池政策委員会」(仮称)の新設などを規定
企画財政部、産業通商資源部、環境部、国土交通部が共同所管し、2024年中の立法を推進

(2)全サイクル履歴管理システムの構築

「電池の製造→EVの運行・廃車→使用済み電池の取引と流通→再製造・再使用・リサイクル」といった全サイクルの情報管理・共有システムを構築
第1段階(2024~2026年)で各部署所管の個別システムを構築、第2段階(2027年)では個別システムを連携した統合ポータルを開設
電池のサプライチェーン管理、取引活性化、安全管理などのための政策決定のみならず、貿易規制への対応や取引の透明性確保などにも活用が可能

(3)再生原料認証制の導入

使用済み電池から抽出した有価金属(リチウム、ニッケル、コバルトなど)が新品の電池にどの程度投入されたかを認証する制度で、抽出した原料を再生原料として認定し(環境部)、新品電池内の再生原料使用率を認定(産業通商資源部)
再生原料の利用を義務付けるEUバッテリー規則に積極的に対応し、関連企業の負担軽減と重要鉱物サプライチェーン安定化に活用

(4)EV電池の取り外し前の性能評価導入

EV電池の使用が終了した際、取り外し前の性能評価(注2)を実施し、電池を取り外さない状態で電池の等級を決め、その等級により再製造・再使用・リサイクルに分類
性能評価の結果を基に、市場価値の適正な判断に活用

(5)使用済み電池の流通体系構築

民間の自由な取引を原則としつつ、不公正行為を防止するため「公正取引ガイドライン」を策定、関連事業者の専門性を確保するための事業者登録制度を導入、流通過程での安全性を担保できる詳細な輸送・保管基準を策定(注3)

これらの詳細な運営事項について、韓国政府では「親環境産業法」や「電子製品等資源循環法」「自動車管理法」など、関係部署所管の個別法の改正と共同告示の策定を通じて定める計画だとしている。

(注1)韓国政府は2030年前後に国内で10万個以上が排出されると予測している。

(注2)評価者は国土交通部長官で、韓国交通安全公団が代行して行うことを想定している。

(注3)現行の環境部指針を補完し、輸送・保管時の安全性を担保できる詳細な安全基準を策定する。

(橋爪直輝)

(韓国)

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