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第3四半期のGDP成長率は前年同期比1.8%、前期から伸び率鈍化(香港)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月12日 0時10分

添付資料PDFファイル(172 KB)

香港特別行政区政府統計処は10月31日、2024年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(速報値)を前年同期比1.8%と発表した(添付資料図参照)。前期から1.4ポイント低下し、2024年に初めて香港政府が2月28日に公表した同年通年のGDP成長率見通し(2.5~3.5%)を下回った(2024年3月7日記事参照)。なお、2024年第1四半期(1~3月)から第3四半期までの累計では、実質GDP成長率は2.6%で、通年のGDP成長率見通し(2.5~3.5%)の範囲内だった。

第3四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、個人消費支出以外は前年同期比増となったが、前期に比べて前年同期比の伸び率が弱い(添付資料表参照)。特にサービス輸入(8.2%)は、前期(12.3%)から4.1ポイント低下、財輸出(3.9%)は前期(7.5%)より3.6ポイント低下と、前期から大きく伸び率を落とした。

香港大手銀行、大新銀行のチーフエコノミスト兼ストラテジストの温嘉煒氏は、財輸出とサービス輸入が前期比伸び率減となった要因について、「財輸出は、中国大陸以外の外需が弱いことに加え、前の数カ月間は、輸出業者が欧米諸国による対中関税引き上げを見据え、納期を前倒ししたという特殊要因があった」と分析した。サービス輸入については、「来港客の消費パターンの変化や香港居住者による域外消費と北上消費(注1)の影響で、サービス貿易赤字は『常態化』した。短期的にはこの傾向は変わらないだろう」と述べた(「香港信報」紙11月1日)。

香港政府報道官は2024年第3四半期の香港経済について、「前年比で緩やかではあるものの、香港経済は引き続き成長している」と述べた。2024年第4四半期(10~12月)については、「経済の不確定性や貿易摩擦が香港の財輸出に影響を及ぼす可能性がある一方、中国本土の金融緩和と幅広い景気刺激策が固定資産投資を下支えするだろう」と分析した。インバウンド観光や個人消費に関しては、「香港ドルと米ドルの為替レートの緩和に伴い、香港政府が実施するさまざまな施策、市場心理を底上げする取り組みや収入増が下支えするだろう。一方、来港客や香港居住者の消費パターンの変化(注2)が引き続き課題となるだろう」との見方を示した。

なお、香港政府は11月15日、2024年第3四半期のGDP成長率の詳細を公表する予定。

(注1)香港居住者が買い物目的で中国本土を訪れて消費すること。中国本土との往来再開後、安価で選択肢が豊富な深セン市に日帰りで遊びに行く者が増加している。

(注2)中国本土からの来港者の消費パターンは、ショッピングなどのモノ消費から、街歩きやハイキングなどのコト消費に変化しつつあり、宿泊地も香港より安い近接した深セン市に変わりつつある。

〔何樂晴(エスター・ホー)〕

(香港)

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