メキシコ政府、米国の関税賦課大統領令を受け、安全保障と公衆衛生の作業部会設置を提案(メキシコ、米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年2月4日 13時20分
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は2月2日、米国のメキシコ製品に関する25%の関税賦課の大統領令を受け、ドナルド・トランプ米国大統領に対して「安全保障と公衆衛生に関するワーキンググループ設置」の提案を表明した。
シェインバウム大統領は声明の中で、「メキシコは対立を望んでおらず、近隣諸国の協力を求めている。メキシコはフェンタニルが米国だけでなく、どこにも到達してほしいと思っていない。したがって、米国が犯罪組織と戦いたいのであれば、またメキシコに共に戦ってほしいのであれば、常に原則に基づき、協力して事に当たらなければならない。原則とは、責任の共有、相互信頼、協力、そして何よりも主権の尊重である。主権は譲歩できるものではなく、協調はしても従属はしない」と述べ、協力の姿勢とメキシコの主権の尊重を主張した。また、今回のワーキンググループ設置については、「問題は関税を課すことで解決するのではなく、話し合いと対話によって解決する」と強調した。
シェインバウム大統領は、米国への協力姿勢を見せた一方で、「ホワイトハウスがメキシコ政府に対して行った、犯罪組織との連携を示唆するようなメキシコ領土への介入を意図する中傷を明確に否定する」とも発言し、犯罪組織とのつながりを否定して、米国を強く非難した。
追加関税の争点について、これまでの成果を強調
追加関税の争点となったのは、フェンタニルなどの麻薬性鎮痛薬と不法移民の米国への流入だ。前者について、メキシコ政府は「4カ月間でフェンタニル2,000万回分を含む40トンの麻薬を押収し、犯罪組織に関わる1万人以上を逮捕した」と発信し、対策を講じている旨を強調した。後者の移民問題についても、米国から強制送還されるメキシコ国籍移民の受け入れ態勢を整備する(2025年1月30日記事参照)などの準備を進めている。
最後に、メキシコ政府の提案内容に対するトランプ大統領の返答を待つよう国民に訴え、翌2月3日の早朝記者会見では、米国の関税賦課に対するプランBを発表するとした。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国)
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