2024年のFCV生産販売台数は5,000台にとどまる、4年ぶりの前年割れ(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月17日 11時25分
中国自動車工業協会(CAAM)は1月13日、2024年の自動車生産販売状況を発表した(2025年1月16日記事参照)。新エネルギー車(NEV)の販売台数は前年比35.5%増の1,286万6,000台となり、新車販売台数に占めるNEVの割合は40.9%となった。NEVのうち、バッテリー式電気自動車(BEV)の販売台数は15.5%増の771万9,000台、プラグインハイブリッド車(PHEV)は83.3%増の514万1,000台と増加した。一方で、燃料電池車(FCV)は12.6%減の5,000台にとどまり、2020年以来4年ぶりに前年比で減少した(添付資料表参照)。
FCVについては、2020年10月27日に中国自動車エンジニアリング協会が発表した「省エネルギー・新エネルギー車技術ロードマップ2.0」において、2035年におけるFCVの保有台数を約100万台とする目標が掲げられている(2020年11月5日記事参照)。また、2022年3月23日に中国国家発展改革委員会が発表した「水素エネルギー産業発展中長期規画(2021~2035年)」において、2025年までの目標としてFCVの保有台数を5万台とすることが掲げられている(2022年3月29日記事参照)。しかし、2024年までの累計販売台数は2万1,264台にとどまっており、2025年の保有台数5万台の目標達成には、2025年内に、これまでの累計販売台数よりも多い台数を販売する必要がある。
水素をはじめ、中国の新エネルギー産業の動向を調査するインテグラルの中西豪総経理は「現在、中国におけるFCV(の応用領域)は、大型商用車の物流分野に焦点を当てているが、当該分野は経済性に最も敏感な領域であり、補助金支給の遅れや水素燃料コストの高止まりが新規の投資意欲の妨げになっている」と指摘する。例えば、FCVの新規販売台数の鈍化が特に顕著だった広東省では、水素ステーションにおける水素供給平均価格は1キログラム当たり55元(約1,155円、1元=約21円)と、他の主要FCV実証都市の平均価格35元と比べて高い。一方で、北京市、河北省などの地域では、FCVの販売台数が1,000台を超えるなど堅調に伸びており、各地方政府が掲げる2025年までの販売台数目標は達成される見通しで、地域によっても明暗が分かれつつある。中西総経理は「足元で水素価格やFCV車両価格は下落傾向にあるが、いまだ補助金に頼らない商用化は厳しい水準にある。2025年は補助金支給期間の最後の一年であり、支給期間の延長や新たな補助制度などの措置が打ち出されるかどうかが今後のFCVの普及シナリオに大きく影響を与える」と指摘している。
(高橋大輔)
(中国)
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