1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

米商務省、ロシアによる輸出規制回避を防止するG7の共同ガイダンス発表(米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、EU、ロシア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月25日 14時35分

米国商務省産業安全保障局(BIS)は9月24日、G7に参加する米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、EUがロシアによる輸出規制や制裁の回避を防止するため、産業界向けに共同ガイダンスを公開したと発表した。G7による輸出管理の共同ガイダンスは今回が初めてとなる。

共同ガイダンスで解説しているのは、(1)ロシアへの流出リスクが高い品目リスト、(2)輸出規制や制裁の回避に関する最新の危険信号(レッドフラッグ)、(3)レッドフラッグに対処するためのベストプラクティス、(4)デューディリジェンス(DD)を支援するスクリーニングツールとリソースとなっている。

(1)では、ロシアの防衛産業基盤に重要な製品として、輸出管理で重点的にDDを行うべき共通の高度優先品目リスト(CHPL)を解説している。CHPLは関税分類番号(HSコード)6桁のリストで、集積回路や無線通信関連の電子機器などの50品目をティア1~4に分けて指定している(2024年2月26日記事参照)。ガイダンスでは、これら品目のロシアでの生産不足などから流出リスクが高いとして、輸出などする際に特に注意を要するとしている。

(2)では、ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月24日、または各国によるロシアへの輸出規制や制裁が強化された後、取引先がCHPLに掲載されている品目の輸入量を大幅に増加するなど、事業活動が急変した場合は、輸出規制の回避を狙っている可能性があるとして、輸出前に必要なDDを行うべきだと注意を促している。

(3)では、レッドフラッグに該当する場面に遭遇した際のベストプラクティスとして、取引先を制裁対象者リストと照合することや、取引先に対して物品がロシアやベラルーシなどの制裁対象者に譲渡しないことを保証する書面への署名を求めるなど追加調査を行うこと、それでも懸念が払拭できない場合には、自国の適切な輸出管理当局に問い合わせることなどの手順を概説している。

(4)では、米国商務省国際貿易局が公開している統合スクリーニングリスト(CSL、2022年12月23日記事参照)など、G7参加国・地域が公開している制裁対象者リストやそのほかのガイダンスを紹介している。

BISで輸出管理の執行を担当するマシュー・アクセルロッド次官補は声明で「G7メンバーにとって、ロシアがミサイルや無人航空機(UAV)を動かすのに必要な部品の入手を阻止することは、最優先事項だ」とした上で、「産業界との連携なしには、G7の流出防止の取り組みは成功しない」と述べ、産業界向けの共同ガイダンスの必要性を強調した。

通常兵器や関連汎用(はんよう)品などに対する伝統的な輸出管理の国際的な枠組みであるワッセナーアレンジメント(WA)にはロシアも参加していることから、近年ではWAでの国際的な輸出管理の協調は進んでいなかった。一方で、G7はロシアがウクライナに侵攻して以降、グローバル輸出管理連合(GECC、注)などと連携し、ロシアに対する輸出管理や制裁を強化してきた。WAとは異なる枠組みでの輸出管理の連携の必要性を指摘する声もあり、今後もG7を通じた国際協調が進む可能性がある。

(注)対ロシア輸出などについて、同等の輸出管理を履行している国々の総称。米国は、GECC参加国向けの輸出などに対して、輸出管理要件の一部緩和措置などを取っている(2023年12月11日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、EU、ロシア)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください