欧州鉄鋼連盟、グリーン水素活用促進に向け、EU加盟国に提言(EU)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月5日 1時0分
欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は5月24日、産業部門における非バイオ由来の再生可能燃料(RFNBO)比率目標の達成に向け、EU加盟国に対する政策提言書を発表した(プレスリリース)。EUは2023年、再生可能エネルギー(再エネ)指令を改正し、産業部門で利用する水素消費量におけるグリーン水素を主体とするRFNBOの最低比率目標を設定。2030年までに42%、2035年までに60%とした。各加盟国は今後、同指令を国内法化し、グリーン水素活用拡大のための施策を策定する(2023年6月9日付地域・分析レポート参照)。
脱炭素化が困難な鉄鋼部門で、二酸化炭素(CO2)排出を削減するにはグリーン水素の活用が必須であり、条件が整えば、欧州の鉄鋼部門は2030年以降、最も多く水素を利用し、水素市場の成長を牽引する部門となると見込まれている。しかし、EUのグリーン水素生産量は2022年時点では年間5万トンにとどまり、価格も高く、安全な輸送インフラも確立されていない。EUROFERは、早急に供給量拡大に取り組む必要を指摘すると同時に、各国の水素政策やRFNBO比率目標の策定について提言した。主な内容は次のとおり。
産業競争力維持を考慮し、グリーン水素の現在の需給量や今後の見通しに基づく現実的なRFNBO比率目標を設定する。
国レベルで目標を設定するにとどめ、個別の企業への一定の水素消費の義務化など、新たな企業負担を課さない。
鉄鋼部門など、グリーン水素によるCO2排出削減効果が高く、脱炭素化に向けた手段が限られる部門を重点的に支援する。
EUの欧州水素銀行(2024年5月8日記事参照)や域内ガス市場規則(2024年5月28日記事参照)など、他の水素関連政策・措置と連携した総合的な水素政策を立案する。エネルギー集約型産業向けの長期間の電力や水素購入契約の推進策、再エネ施設に係る許認可の迅速化などを通じ、産業部門でのグリーン水素の活用を促進する。
(滝澤祥子)
(EU)
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