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米商務省、中国向け先端コンピューティング用半導体の輸出管理を強化する暫定最終規則を発表(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月16日 11時30分

米国商務省産業安全保障局(BIS)は1月15日、中国向け先端コンピューティング用半導体に対する輸出管理を強化する暫定最終規則(IFR)を発表した。1月16日付の官報で公示し、同日より効力を有する。2022年10月から続く、先端半導体向け輸出管理規制の強化に続くものとなっている(2024年12月3日記事参照)。

BISの発表によると、今回のIFRは、軍事用途で使用される人工知能(AI)などの技術開発および生産に必要な先端コンピューティング半導体を入手しようとする、中国からの脅威軽減を目的に策定された。軍事上の意思決定などに利用される先端AIは、先端半導体を基盤としたスーパーコンピューティングによってその能力が促進されるため、これら半導体の流出が米国の国家安全保障上の懸念になっているという。また先端AIは、認知電子戦、レーダー、信号情報、妨害、人権侵害や虐待に対する顔認識監視システムのサポートにも使用される可能性があるとしている。

今回のIFRの概要は次のとおり。

〇特定の先端半導体を輸出するファウンドリおよびパッケージング企業に対する輸出許可要件の設定。ただし、次の3つの条件のいずれかを満たす場合を除く。

「承認」または「認定」された集積回路(IC)設計者への輸出であり、そのIC設計者が、輸出する半導体が規制される性能基準値を下回ることを証明する場合
マカオまたは輸出管理規則(EAR)上の国別グループD:5(注1)以外の仕向地にある前工程製造業者によって半導体がパッケージされ、その製造業者が最終半導体のトランジスタ数を検証する場合
輸出者とは異なる「認定」を受けた半導体組み立て・テスト(OSAT)企業が、最終半導体のトランジスタ数を検証した上で、その半導体をパッケージした場合

〇当局が「認定」するIC設計者およびOSATリストへの新規企業追加プロセスの策定(注2)。

〇2025年1月に発表された、AI向け半導体に対する輸出管理強化を含め(2025年1月14日記事参照)、輸出許可例外が、「承認」または「認定」されたIC設計者との取引のみに適用されるようにEARを更新。

〇中国政府による自前の先端半導体生産という目標を推進するため、中国政府から要請を受けて活動しているAI企業など、16の事業体をエンティティー・リスト(EL)に追加(注3)。

BISは、今回のIFRに対してパブリックコメントを求める。パブコメは、連邦政府のポータルサイト(BIS-2024-0055)から提出可能で、3月14日に締め切られる。

今回の発表に際して、商務省で輸出管理を管轄するアラン・エステベス次官は「デューディリジェンス要件を強化することで、われわれは、ファウンドリが自社の半導体が規制対象の企業に転用されていないことを検証する責任を負うようにしている」と述べた。BISは2024年12月に、米国企業による中国産レガシー半導体の使用状況の報告書を発表していた。報告書では、自社製品に中国製半導体が含まれているか明確に判断できなかったとする回答が多く報告されていた(2024年12月9日記事参照、注4)。

(注1)EARの国別グループD:5には中国が含まれる。

(注2)BISに申請し、エンドユーザー審査委員会(ERC)の承認を経ることで、「承認」されたリストに追加される。

(注3)ELへの追加は、IFRとは異なる官報で公示されている。

(注4)レガシー半導体に対する報告書の発表後、米国通商代表部(USTR)は、中国の半導体産業に関する措置・政策・慣行を対象に、1974年通商法301条に基づく調査を開始した(2024年12月24日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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