イオンモール、湖南省1号店を長沙市にオープン(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月25日 12時0分
イオンモールは9月12日、中国の湖南省長沙市に「イオンモール長沙星沙」をオープンした。湖南省への出店は初となる。オープン当日には開業式典が行われ、中国共産党湖南省委員会外事工作委員会弁公室の郭向麗副主任や長沙市商務局郑平局長、イオングループ中国担当の後藤俊哉執行役やイオンモールの大野惠司社長らが出席した。
開業式典(イオンモール提供)
同店舗は、敷地面積約11万5,000平方メートルの中に、約50店のレストランや、家族連れが楽しめるエンターテインメント施設を擁する。また、食およびエンターテインメントエリアは、金曜日・土曜日の営業時間を延長し、週末余暇を楽しむニーズの獲得を図る。オープンにあたり、ジェトロは、イオンモール湖北の酒井俊郎総経理に話を聞いた。概要は次のとおり。
(問)湖南省および長沙市の市場をどう見るか。
(答)中国の経済発展軸は内陸部へシフトしている。とりわけ「長江経済圏」は高い将来性が見込まれており、同経済圏に位置する湖北省武漢市の既存4モールは好調を維持している。内陸都市の中でも、湖南省長沙市は都市規模および経済規模が武漢市と同水準で、大規模商業施設も市中心に集中し、郊外型モールとしてのポジションが確保できると判断した。
(問)同地域での出店において、他地域店舗と異なる特徴や差別化した部分はあるか。
(答)長沙エリアでの出店にあたり、モールの特徴として大きく3点を強化している。
1. ナイトタイムエコノミー(注1)の活動拠点として提案している。具体的には、グルメやエンターテインメントのフロアは、毎週末や連休は午後11時まで営業する。また、屋外にナイトマーケットを開設し、午後6時以降に来店する利用者に、館内とは異なる楽しい空間を提供する。
2. 娯楽やコト消費の拡大を目的に、アミューズメント施設の充実を図るとともに、新たなライフスタイルに合わせた時間消費型の施設を用意した。例えば、約1万5,000平方メートルの地域最大級のエンターテインメントゾーンを設け、ニューファミリーや若者が1日遊べるように工夫している。
3. 地域の利用者の生活の利便性と質の向上に向けた専門店を導入している。星沙エリアは長沙経済発展区として発展している一方、買い物やレジャーのために長沙市中心部に出かける人々が多かった。そのため、モール4キロ圏内にはない大型店舗や、若者に流行している感度の高いファッション店舗などを導入している。
(問)今後の中国中部地域(注2)での展開をどう考えるか。
(答)内陸部の中でも湖北省や湖南省は、沿岸部と比較してまだまだ発展の余地があり、今後も成長が見込まれていることから、当社の海外事業における重点投資エリアとして新規開発物件の探索を進めている。当社のターゲットとする中間所得層は、コストパフォーマンスの高い商品へのニーズが高まっており、郊外型ショッピングモールにおいてデイリー需要を獲得することで、大きなチャンスが広がると考えている。
長沙市は人口約1,051万人を抱える湖南省の省都。都市住民1人当たり可処分所得は、中国中部地域最大の6万7,276元(約141万2,796円、1元=約21円)と、消費意欲が旺盛な都市として知られる。また、ナイトタイムエコノミーの盛り上がりでも注目されている。イオンモールは、来年2025年に長沙市2号店のオープンを予定しており、同地域の消費者需要を獲得することが期待される。
(注1)夜間に行われる消費などの経済活動の総称を指す。
(注2)一般的に湖北省、湖南省、河南省、江西省、安徽省、山西省の6省を指す。
(西島和希)
(中国)
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