「高雄国際酒展」に国税庁がジャパンブース設置、台湾中南部での普及がカギ(台湾、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月21日 0時15分
台湾南部の高雄市内の高雄展覧館で8月9日から12日まで「高雄国際酒展」が開催された(注1)。この展示会に日本の国税庁が「SAKE & SPIRITS OF JAPAN」と冠したブースを設置した。同ブースでは酒造会社など16社が出展し、このうち3社が台湾向けの初輸出に取り組んだ。
台湾向けに初輸出を目指す企業からは、「台湾との直行便があり、地理的にも近いため、台湾を対象とした。今回は国税庁のサポートがあり、出展料の自己負担がなかったため、初挑戦しやすかった」などの声が聞かれた。また、出展企業の中には、新型コロナウイルス感染拡大によっていったんは輸出を取りやめたが、今回の展示会を機に、台湾向け輸出に再チャレンジするという企業もあった。
「高雄国際酒展」でのジャパンブース(日本台湾交流協会台北事務所提供)
一方、清酒などを取り扱う台湾の輸入業者からは、日本産酒類を拡販していくに当たって「台湾での小売価格は高額となり(注2)、一般消費者は気軽に手を出しにくい」「台湾向け輸出に取り組む際は、バイヤーや消費者に対し、商品の特徴やストーリーなどを丁寧に説明することが必要だ。また、台湾市場は変化が早いため、当地の展示会参加などを通じて、市場動向を直接理解することが重要」「台北市では清酒などを取り上げたイベントが数多く開催されているが、高雄市を含めた中南部での開催は限られている」などの課題があるといった声が聞かれた。
台湾では法律上、ネット通販などの酒類の通信販売が禁止され、実店舗での購入が必要だ。「高雄国際酒展」のような展示会は一般消費者も入場可能で、新しい商品を探す機会になっている。一般消費者は酒類にアクセスしにくい面がある点は考慮する必要がある。上述で課題として挙がっていたが、台湾向けに輸出を目指す企業には、高雄市のような中南部の都市でも継続的に商談や販売促進に取り組むことが期待される。
なお、台湾財政部が発表した2023年の酒類統計によると、品目別酒類の輸入量(添付資料図参照)については、ビール(68.8%)が圧倒的なシェアを占め、次いでウイスキー(6.0%)、ワイン(4.7%)などが続く。日本産の清酒を含む「穀類醸造酒類」は0.8%だった。
(注1)主催は台湾の民間展示会会社「展昭國際企業」。同社は台湾の主要都市(台北市、台中市、高雄市)で、酒類も含めた食品分野の展示会を開催している。会場には茶、コーヒーなども展示されている。
(注2)例えば、清酒の小売価格は日本の3~5倍程度。価格設定では、商品仕入れ価格や輸送コスト、関税、営業税、酒税、保管コスト、輸入業者のもうけなどを考慮する必要がある。清酒には20%の関税がかかる。
(川名洋次郎)
(台湾、日本)
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