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米共和党議員、港湾クレーンの中国依存を問題視、代替調達や国内製造の強化も提言(米国、中国、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月13日 13時45分

米国連邦議会下院の共和党議員団は9月12日、米国の港湾における中国の経済・国家安全保障上の脅威に関する調査報告書を発表した。

報告書を発表したのは、ジョン・ムーレナー下院議員(ミシガン州)とマーク・グリーン下院議員(テネシー州)、カルロス・ヒメネス下院議員(フロリダ州)の3人の共和党議員だ。ムーレナー議員は中国共産党との戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委員会)、グリーン議員は国土安全保障委員会、ヒメネス議員は運輸・海事安全保障委員会の委員長などをそれぞれ務める。中国特別委と国土安全保障委は2023年6月以降、港湾荷役機械大手の中国の上海振華重工(ZPMC)やスイスのアセア・ブラウン・ボベリ(ABB)に質問状を送付するなど、調査を行っていた(2024年3月12日記事参照)。

52ページに及ぶ報告書では、米国の海事産業は中国で製造・加工・組立された機器や技術に危険なほど依存していると総括した。特に、港湾クレーンに関してはZPMCが世界市場の7割、米国市場の8割を生産していると問題視した。この寡占状態は、中国政府が世界の海事産業で支配的な地位を占めるべく、ZPMCに対して国営銀行などを通じて融資や補助金などの優遇措置を戦略的に提供し、それをもとにZPMCが市場相場から離れた価格設定を行ってきた結果だとした。また、米国国内で代替製造能力が欠如していることも問題視した。

報告書では、短期・中期・長期的に政府や議会が講じ得る政策の提言も盛り込まれた。短期的には、国土安全保障省(DHS)に対してZPMCの港湾クレーンに関するサイバーセキュリティー対策の指針を出すことなど、港湾のセキュリティー確保に向けた措置を講じるよう要請した。中期的には、DHSに対して「非敵対国(non-adversarial)」からの港湾クレーン調達の実現可能性を調査するよう求めたほか、議会に対して各港湾が政府助成金を活用して非敵対国から調達する場合、バイ・アメリカ規則の適用対象外とする法案を制定することなどを要請した。さらに長期的には、商務省に対して港湾クレーンの国内製造基盤の構築に向けた調査の実施などを訴えた。

非敵対国の具体的な説明はなかったものの、第三国の港湾クレーンメーカーとして、フィンランドのコネクレーンおよびドイツのリープヘルが挙げられたほか、日本の三井E&Sおよび同社の米国子会社のパセコが米国内での製造を検討する事例も紹介された(2024年2月22日記事参照)。

なお、港湾クレーンを巡ってはバイデン政権が2024年5月に、1974年通商法301条に基づく対中追加関税の対象に追加し、25%の追加関税を賦課する方針を発表している(2024年6月18日付地域・分析レポート参照、注)。

(注)米国通商代表部(USTR)は最終的な関税率や賦課開始時期を2024年9月中に発表する見込み(2024年9月2日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、中国、日本)

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