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9月の米地区連銀報告の全体概況はおおむね横ばい、消費・雇用は統計データほどの改善は示唆せず(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月24日 11時50分

米国連邦準備制度理事会(FRB)は10月23日、8月27日~10月11日のデータに基づく地区連銀経済報告(ベージュブック)を発表した。全体概況では、「9月初旬以降、ほぼ全ての地区でほとんど変化は見られなかったが、2地区では控え目に成長した」と、前回報告からおおむね横ばいで推移したとしている。先行きについては「不確実性が増しているが、長期的な見通しは幾分楽観的だった」とした

分野別では、消費は「報告はまちまちで、一部の地区では購入内容が主に安価な代替品にシフトしている」とした。前回の「ほとんどの地区で減少した」との評価に比べると、今回は幾つかの地区から、わずかに増加したとの報告も寄せられている。しかし、9月の小売り統計(2024年10月18日記事参照)で示されたほどの改善を示す内容に乏しく、消費の改善は小幅にとどまっている可能性を示唆した。

住宅市場は「おおむね持ちこたえている」とし、「多くの地域で在庫が引き続き増え、住宅価格はおおむね横ばいから、わずかな上昇にとどまっている」とした。ただし、住宅ローン金利動向の不確実性により、一部の購入予定者は様子見をしているほか、多くの地域で手頃な住宅の不足が根強い問題となっているとも指摘した。

企業部門では、製造業は「ほとんどの地区で減少している」、金融業は「おおむね横ばいから、わずかに増加の間で推移し、ローン需要はまちまちだったものの、一部の地区では金利の低下で見通しが改善している」とした。

労働市場に関しては、雇用者数が全体としてわずかに増加したとの認識を示した。また、(1)半数以上の地区がわずかから、控え目な増加を報告し、残り半数はほとんど、または全く変化がなかった、(2)多くの地区で労働者の離職率は低く、解雇は限定的、(3)労働需要は幾分緩和し、採用は事業拡大よりも補充に重点を置いたものとなっているなどと報告している。9月の雇用統計(2024年10月7日記事参照)では、雇用者数の大幅な増加が見られたが、今回の報告からはわずかな改善が読み取れるものの、大幅な改善は示唆しておらず、労働市場の緩やかな軟化という方向性自体は継続している可能性がある。

物価については、「インフレは引き続き緩和し、ほとんどの地区で販売価格はわずかから、控え目に上昇した」とした。ただし、保険料や医療費、卵や乳製品など幾つかのカテゴリーで、価格上昇圧力が報告されているほか、投入価格が概して販売価格よりも速く上昇し、企業の利幅を圧迫していると報告している。

なお、今回の調査期間中に米国南東部を襲った大型ハリケーン「へリーン」や「ミルトン」の影響は、リッチモンド連銀から失業保険申請者数が増加したと報告されたほか、アトランタ連銀からもエネルギー・農業部門などに大きな影響があったと報告されている。

(加藤翔一)

(米国)

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