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EU、強制労働製品のEU域内流通と域外輸出を禁止する規則案を採択、3年後に適用開始(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月22日 14時50分

EU理事会(閣僚理事会)は11月19日、強制労働により生産された製品のEU域内での流通、域外への輸出を禁止する規則案を採択した(プレスリリース)。これは、3月の欧州議会との政治合意(2024年3月12日記事参照)に基づくものだ。規則案は、今後、EU官報への掲載を経て施行され、施行3年後に適用が開始される。

規則は、域内向けオンライン販売を含め、製品を域内販売あるいは域外輸出するあらゆる事業者を対象に、採掘、収穫、生産、製造などサプライチェーンのいずれかの段階において、部分的にあるいは全面的に強制労働が用いられた製品の域内流通と域外輸出を禁止する。当局は、強制労働の疑いがある製品に関し調査を実施し、強制労働があると判断した場合、事業者に対し当該製品の域内流通および輸出の禁止のほか、回収、廃棄を命ずることができる。

同規則は、企業持続可能性デューディリジェンス(DD)指令(2024年4月26日記事参照)と異なり、事業者にDD義務を課すものではない。一方で、調査対象となった場合、事業者はサプライチェーンにおいて強制労働リスクを特定、防止、緩和、救済あるいは終わらせるためにとった措置に関する情報を当局に提出する必要がある。このことから実質的には事業者は何らかのDDを実施することが求められる。

また、欧州委員会は強制労働リスクに関する情報をデータベース化し、国主導の強制労働による場合を含め特定の地理的地域の産業を「高リスク」に指定する。当局は、調査にあたり、リスクに基づくアプローチを採用する。サプライチェーンにおいて高リスクと判断された地理的地域の産業が関わっている場合、特に注意が必要だ。一方で、中小企業に配慮し、強制労働を終わらせる上で最も影響力を持ち、強制労働に最も近い事業者に調査の重点が置かれる。

規則成立も、実施に関し不透明な部分は多い

事業者に期待されるDDの内容について、規則に具体的な規定はない。欧州委によるガイダンスは施行後18カ月以内に策定されるとされており、当面は公表されないとみられる。調査についても、EU理事会と欧州議会の交渉の結果、域外での強制労働が疑われる場合の実施主体が加盟国当局から欧州委に修正されたことから、欧州委の担当者は、欧州委の担当職員数や予算規模のみならず、担当総局もまだ決まっていないとの現状を明かしている。

(吉沼啓介)

(EU)

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