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物価上昇幅が縮小、通貨金融庁は金融政策を維持(シンガポール)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月5日 0時15分

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は7月26日、これまでの金融政策を維持すると発表した。同庁が金融政策の維持を発表するのは2023年4月以降、連続して5回目(注1)。

MASは政策金利を設定せず、シンガポール・ドルの名目実効為替レートの誘導目標(政策バンド)を定める金融政策を実施している。MASは前回発表時(2024年4月22日記事参照)に続き、「現行の金融政策は適正」と説明。政策バンドの傾き(上昇率)は実勢水準とし、変動幅と中央値の調節は行わなかった。

第2四半期(4~6月)のMASコアインフレーション指数(MASコア、注2)の上昇率は前年同期比3.0%で、前期(3.3%)より上昇幅が減少した。2024年の予測値は2.5~3.5%の範囲〔財・サービス税(GST)増税(注3)の影響を除くと、1.5~2.5%の範囲〕と、前回発表時から変更はなかった。

MASは、MASコアの上昇率が2024年第4四半期から2025年初頭にかけて、より顕著に低下すると予測している。同庁は要因として、海上輸送費が上昇した一方で世界の生産者物価は小幅な上昇にとどまっていること、原油価格が4月以降下落しており食料品・中間財・最終財の価格が安定していること、直近2年と比べ国内労働市場の逼迫が解消されることで単位労働コスト(注4)上昇率の大幅な減少が予想されていることを挙げた。

また、MASは予測の上振れリスクとして、需要回復により国内労働コスト上昇が再加速することや地政学的緊張による輸入コスト上昇を挙げた。一方、下振れリスクとしては、世界的な金利高の長期化による外需低下に伴う経済成長の鈍化を挙げ、国内外の経済動向やインフレ動向に注意を続ける姿勢を示した。

(注1)MASは2023年10月、従前は半期に1度(4月、10月)だった金融政策の見直しを、2024年から四半期ごと(1月、4月、7月、10月)に行うと発表した。

(注2)消費者物価指数(総合)から住宅関連費と自家用道路交通関連費を除いた指数。

(注3)GSTは2024年1月1日に8%から9%へ改定された。

(注4)一定量の製品やサービスを生み出すのに必要な労働費用のこと。総労働費用(名目雇用者報酬)を実質GDPで割り、算出される。

(糸川更恵)

(シンガポール)

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